すでに、クラウドコンピューティングの時代?
■XPを使い続ける企業
今朝(3月26日)、興味深いニュースを見つけました。大阪信用金庫が3月上旬、大阪や兵庫の取引のある会社1277社に対して調査を行ったところ、いまだにXP を使用している会社が46%、そのうち、このままXPを使い続けるとした会社が53.5%にも及んでいることが判明したというのです。おそらくそれらの企業では新しく設備投資をするだけの財政的な余裕がないのでしょう。すでにWindows8になっているというのに、まだXPを使い続けざるをえないというのです。
詳細はこちら。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140325-00000094-zdn_n-sci
■クラウドコンピューティングの恩恵をうける豪中小企業
一方、オーストラリアのACMA(The Australian Communications and Media Authority) は3月25日の短報で、オーストラリアでは中小企業がクラウドコンピューティングの恩恵を受けていることを明らかにしています。2013年6月期に実施したクラウドコンピューティング市場に関する調査結果に基づいた報告です。
私もよくわからないまま、パソコン、i-phone、i-padにクラウドをインストールしています。そして、写真だけはどのメディアでも共有できるようにしていますが、実は使い方もよく知りません。いったい、クラウドコンピューティングとは何でしょうか。Wikipediaを見ると、クラウドコンピューティングについて次のように説明しています。
*「クラウド」は「雲」の意味でコンピューターネットワークを表す。従来より「コンピュータシステムのイメージ図」ではネットワークを雲 の図で表す場合が多く、それが由来となっている。
Wikipediaではこのように説明し、クラウドコンピューティングのイメージ図として下記の図をあげています。
■クラウドコンピューティングのサービス内容
これをみると、クラウドコンピューティングで提供されるサービスは大きく分けて3種類あることがわかります。上から順にApplication、Platform、Infrastructure です。図をみると、クラウドコンピューティングがこれらのサービスを「雲」の外にあるパソコン、スマートフォン、タブレットなどを使って利用することができる仕組みであることがよくわかります。
ACMAは、2014年3月25日の報告で、オーストラリアではクラウドコンピューティングが実際に軌道に乗り始め、デジタル経済の中で重要な役割を果たしつつあると述べています。2013年6月期の調査によって、オーストラリアでは18歳以上の1400万人(全人口の80%に相当)が積極的にクラウドコンピューティングを活用していることが明らかになったというのです。これは年初比11%増に当たるといいます。また、44%の中小企業(90万社)がこの一年間、積極的にクラウドコンピューティングを活用していたと報告しています。
一般にもっとも多く利用されているのが、webメールで、前年比16%増の70%でした(下図)。そして、このwebメールこそが中小企業でもっとも多く利用されているサービスだというのです。それ以外に多く利用されているのは、ソーシャルネットワーク(62%)、オンライン上の写真保存(47%)、オンラインで文書を作成したり、共有する(40%)、オンラインでビデオを保存(12%)、オンラインでデータのバックアップ(9%)、オンライン上にファイルを格納(8%)、等々でした。
利用者のもっとも大きな懸念はセキュリティ(52%)だそうです。中小企業が積極的にクラウドコンピューティングを活用することのメリットは、サービスに簡単に便利にアクセスできるという点で、これは36%を占めます。
一方、デメリットとしては、彼らの仕事内容に適していないというもので、これは48%を占めていました。ただ、人材、財政基盤とも大企業に比べて脆弱な中小企業にとって、クラウドが役立つ日も近いのではないかという気がします。
■中小企業にとっての利用価値
たとえば、ブランドデザイン委員会副委員長 上島 茂明氏はすでにクラウドは中小企業にとって利用価値があると指摘しています。そのメリットとして、①導入コストが安い、②導入スピードが速い、③モバイルコンピューティングとの親和性が高い、④企業の継続性対策として有効、等々をあげています。(http://www.itc-chubu.jp/directors/2012/07/post-8.html)
もちろん、クラウドを活用するには、メリットだけではなくさまざまなリスクがあり、デメリットもあることに留意しなければならないでしょう。それでも、ITによって業務形態が大幅に変化している現状を見れば、導入しないことのデメリットの方が大きいのではないかと思ったりします。意思決定にスピードが要求され、次々と新しいITツールが開発されている時代です。クラウドでITインフラを安価に構築できるのなら、それに越したことはないでしょう。
それにしても、今日は興味深い一日でした。XPを使い続けざるをえない企業がまだ多数あることを知った反面、オーストラリアではクラウドコンピューティングをデジタル経済の中心的な役割を担いつつあるということも知りました。ITによる社会変革がまだまだ継続しているのです。となれば、いつでも、どこでも使えるという機能、データ保存、共有といった機能をもつクラウドは今後、さらに進展していくような気がします。安全性が確保されていけば、それこそ中小企業や個人事業者にとってきわめて有用なメディアになっていくでしょう(2014/03/26 香取淳子)