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東京

東京アニメフェスティバル2014が開催された、COREDO室町

■東京アニメフェスティバル2014が開催された、COREDO室町

3月22日(21:30~22:30)、山村浩二作品集上映会に参加しました。会場は3月20日にオープンしたばかりのTOHOシネマズ日本橋です。TOHOシネマズ日本橋はCOREDO室町2の3Fにあります。土曜日だったせいか、3Fのシネマに行く途中の飲食店はカップルや家族連れ、女性のグループであふれかえっていました。

新しい施設とリニューアルされた店舗は「日本を賑わす日本橋」というコンセプトで設計されたのだそうです。そういわれてみれば、夜も9時近いというのに、その界隈だけは賑わっていました。飲んで食べ、おしゃべりをし、映画を見るという娯楽のための界隈です。まだオープンしたばかりなので、この勢いがどこまで続くかわかりませんが、賑わいの中心にあるのは、9つの最新スクリーンを備えたこのTOHOシネマズ日本橋なのかもしれません。

■ 江戸時代の日本橋界隈
大暖簾
上の写真は江戸時代、賑わいを見せていた日本橋界隈です。モノの交流に伴って、ヒトが交流を深めていたことが示唆されています。
かつての界隈は地上で横空間の中で広がっていましたが、今、界隈はビルの中で縦空間の広がりの中で創り出されています。横移動ではなく、上下移動の中でモノ、ヒト、情報と出会っていくのです。
■現在の日本橋界隈
コレド室町2
上の写真は新装オープンしたCOREDE室町2です。TOHOシネマズ日本橋は、このCOREDE室町2のF3にあります。このビルはBF1、F1、F2とも、物販、飲食店で占められています。飲食、買い物を楽しんでから、情報コンテンツに向かっていく流れが創り出されています。それぞれのフロアがヒトで込み合い、賑わいを見せていました。飲食、情報コンテンツを媒介にヒトが交流を深める時代になっていることがわかります。
■ヒトを集める食

さて、ヒトは誰か他のヒトと心を通い合わせたくて、共に飲み、食事をし、会話をします。それでも、なかなか心が満たされることはありません。それだけではせいぜい他のヒトと快いひとときを共に過ごせたにすぎないからです。そこで、ヒトは感動を求めて映画館に足を運びます。映画であれば、ヒトは少なくとも、ジャンル別に分類された「感動」ぐらいは即席に受け取ることができるからです。このような現代人の欲求に合わせ、セット化されて「賑わい」は作り出されます。そして、COREDO室町界隈はそのような一角でした。

やがて、飲食、音楽、「感動的」な大衆向け映画だけでは心が満たされなくなるヒトが出てくるはずです。そうなったとき、山村浩二作品にみられるような短編アニメーションのもつ異化作用の力が必要とされるようになるでしょう。「感動」や「同化」に頼らずに作品世界に引き込む力を持っているからです。

COREDO室町はグルメ情報や映画上映情報を発信してヒトを集め、楽しませています。そこで楽しみ、感動したヒトが生の情報を生み出し、そこから発信しているという点ではCOREDO室町界隈もまたメディアなのだといえます。(2014/03/24 香取淳子)

山村浩二作品についてのブログは こちら