ヒト、メディア、社会を考える

03月

「グレーテスト・ショーマン」:人類祝祭への賛歌

■「グレーテスト・ショーマン」
 2018年3月20日、少し時間の余裕ができたので、たまには映画でも観ようかと思い、上映作品の中から選んだのが、「グレーテスト・ショーマン」でした。なんの予備知識もなく観たのですが、久々に身も心も弾むのを感じました。

こちら →http://www.foxmovies-jp.com/greatest-showman/#/boards/showman

 上記映像の「予告D」では主な登場人物、ストーリー展開の重要な場面、パフォーマンス、音楽などが端的に紹介されています。

「グレーテスト・ショーマン」(The Greatest Showman)は、19世紀に活躍した興行師P・T・バーナムの半生を描いたミュージカル映画です。貧しく生まれ育った少年がお金持ちの令嬢と結婚して家庭を築き、紆余曲折を経て、やがて夢を実現させていく、というお定まりの成功譚です。

 ストーリー自体はハリウッドの定石を踏んでいますが、テンポの速い画面展開、リズミカルな画面構成、躍動感あふれるダンス、魂を揺さぶる音楽、そして、なにより、セリフの素晴らしさに酔いしれてしまったのです。

 ミュージカル映画だったからでしょうか、劇中、流れていた楽曲のリズムとサウンドが全身に沁みついてしまい、見終えてしばらくは軽い興奮状態でした。私はいつも映画が終わるとすぐ会場を出てしまうのですが、今回はエンドロールが終わり、場内が明るくなるまで映画の余韻に浸っていました。すぐには立ち去りがたい気分になっていたのです。

■興行師バーナム
 主人公バーナムは実在した人物ですが、ショービジネスに手を染めるまでの経緯は、現代社会に生きる観客が違和感なくストーリーに入り込めるよう、アレンジされています。

 勤務していた会社を解雇されてから、着手した事業が失敗し、次にバーナムが始めたのは、フリークショーでした。これは、大男、髭の濃い女性、全身入れ墨の男性、小人など、それまで世間から隠れるようにして生きていたヒトたちを舞台に登場させ、そのパフォーマンスを見せるショーです。

 バーナムとそのメンバーたちがそれぞれ、ポーズを決めて写真に収まっています。

こちら →
(https://www.eigaongaku.info/265.htmlより。図をクリックすると、拡大します)

 フリークショーは、19世紀から20世紀初頭にかけて盛況を呈したショービジネスです。娯楽の少ない時代の庶民の娯楽でした。バーナムもおそらく、その波に乗って興行師として成功を収めたのでしょう。

 フリークショーを興すことによって、興行主バーナムは、それまでひっそりと隠れて生きていたメンバーたちを次々と、表舞台に引き上げていきます。そして、「みんな違うから、輝くんだ」といって怖気づく彼らを鼓舞し、自信と勇気を引き出していきます。

 一方、不承不承、ショーの一員になることを引き受けたメンバーたちも、ありのままの自分をさらけ出すことによって収入を得、自分の居場所を得られることがわかってくると、自ずと自信が生まれ、堂々と生きていけるようになります。これは、「光を与えてくれた」という言葉に集約されています。

 さきほどの映像で端的に紹介されていましたが、バーナムのセリフ「みんな違うから、輝くんだ」、そして、メンバーのセリフ「光を与えてくれた」に、私はなによりも強く印象づけられました。

 バーナムにとっては収益を上げるショービジネスでしかなかったのかもしれませんが、メンバーにとってはかけがえのない居場所であり、心の拠り所にもなっていたのです。そのようなプロセスを示すセリフとパフォーマンス、音楽とが見事にマッチし、ストーリーの展開にともない、心身ともに引き込まれていきます。

 いつになく感動し、途中、涙を流したりもしました。ヒトの存在自体が放つ哀しさ、切なさ、侘しさに限りなく愛おしさを覚えてしまったのです。リズミカルな音楽とパフォーマンスがその気持ちに拍車をかけます。

 劇中、最も惹きつけられたのが、「This is Me」という曲でした。

■「This is Me」
 おそらく、誰もが同じ思いだったのでしょう、この曲は、第75回ゴールデングローブ賞で主題歌賞を受賞し、第90回アカデミー賞の主題歌賞にもノミネートされました。

 2018年2月21日、映画では髭女のレディ・ルッツを演じた女優キアラ・セトルがこの曲を歌う映像がyou tubeにアップされました。貴重な映像です。ご紹介しましょう。

こちら →https://www.youtube.com/watch?v=lWtOVl5Cv00

 この映像は、マイケル・グレイシー監督とキアラがトークするシーンから始まっています。当初、マイクの前に決して出ようとしなかったキアラに、マイケル監督は、「堂々とありのままでいようと歌っているんだから」と強く後押ししたようです。それでようやく、キアラは皆の前で美声を披露するようになったということが明かされています。

 「隠れてろ、お前など見たくない」、「消えろ、誰もお前など愛さない」というセリフに続いて、「でも、心の誇りは失わない」、「居場所はきっとあるはず」というセリフ。さらに、「言葉の刃で傷つけるなら」に続いて、「洪水を起こして溺れさせる」というセリフ。そして、「勇気がある、傷もある、ありのままでいる」に続いて、「これが私」(「This is Me」)というセリフでいったん、終わります。

 たとえ逆境にあっても、誇りは失わず、ありのままでいるのが「私」だと、繰り返し確認する姿勢が表現されています。まさに、「This is Me」なのです。

 キーフレーズ「This is Me」はその後、なんども繰り返され、次第に情感が高められていきます。「見られても怖くない、謝る必要もない」、「心に弾を受け続けた」、「でも、撃ち返す」、「恥も跳ね返す」というふうに、使われるフレーズも次第に強くなっていきます。そのたびに声のトーンがあがり、ボリュームもあがっていきます。

 そのようなクレッシェンド効果が最高になったとき、「私たちは戦士」、「戦うために姿を変えた」というフレーズに移り、彼らの状況認識が変わっていったことが示されます。もちろん、そうはいっても、「心の誇りは失わず」、「居場所はあるはず」というフレーズは組み込まれています。彼らを心理的に支えるフレーズを通して、‘待ち’の姿勢が示されており、「輝く私たちのために」という希望が、彼らを支える拠り所になっていることが強調されます。

 一連のフレーズを通して、彼らがバーナムのショービジネスに参加することによって、肯定的に自分を捉えられるように変化していったことを把握することができます。

■危機を跳ね返すバーナムのアイデア
 興行師とパフォーマーたちが一体化したこのショービジネスは、各地で喝采を浴びました。バーナムはようやく、子どものころから夢に見続けた成功を手にします。ところが、富を手にし、有名にはなりましたが、所詮、成り上がり者でしかありません。バーナムが成功するにともない、非難の目を向ける人々も増えていきます。それは、地域の近隣住民であり、社交界であり、劇場評論家でした。彼らは成り上がり者のバーナムや家族を非難し、排除しようとします。

 そのような動きは、子どもたちのコミュニティでも例外ではありませんでした。バレーを習っているバーナムの娘はのけ者にされ、バレーを辞めたいと言い出す始末です。興行主としてビジネスの成功を追い続けていたバーナムに試練が訪れます。

 アイデアマンのバーナムは、彼なりの方法でこの危機を切り抜けます。

 成り上がりに必要なものは権威付けです。パートナーの伝手で、女王との面会を果たし、メンバーとともに出席したその席で、バーナムは著名なオペラ歌手と出会います。もちろん、彼はこの機会を逃しません。機を見て、彼女との公演の約束を取り付けてしまいます。

 そして、上流階級を対象にした公演もまた、大成功を収めます。

こちら →
(http://www.imdb.com/title/tt1485796/mediaviewer/rm2318162944より。図をクリックすると、拡大します)

 清楚で美しく、限りなく上品なオペラ歌手ジェニー・リンドは、気難しい上流階級の人々はもちろん、バーナムを非難し続けてきた劇場評論家さえ虜にしてしまいます。

 またしても、バーナムは危機を乗り越え、いよいよ成功の頂点に上りつめていきます。支えてきたのは、有能なパートナーのフィリップ・カーライルであり、努力の積み重ねで、圧巻のパフォーマンスを披露するメンバーたちでした。

■パフォーマンス、そして、芸と舞台技術
 それでは、メンバーたちのパフォーマンスを見てみることにしましょう。

こちら →https://www.youtube.com/watch?v=abo9ULUk0ok

 「This is Me」の場合、どのように振り付けられ、パフォーマーたちによってダイナミックに演じられていったのか、上記の映像を見るとよくわかります。迫力あるシーンは、最先端の振付師によって効果的に振り付けられ、「This is Me」のフレーズが印象に残るように工夫されていたのです。

 もちろん、メンバーの芸や舞台技術もすばらしいものでした。たとえば、次のようなシーンがあります。

こちら →
(https://www.bustle.com/p/is-the-greatest-showman-a-broadway-musical-the-movie-takes-cues-from-both-stage-screen-7670795より。図をクリックすると、拡大します)

 これは、事業パートナーのフィリップ・カーライルとメンバーのアニーとの出会いのシーンです。アニーが空中から舞い降りてきて、カーライルの心を射止める情景が、幻想的に美しく表現されています。まるで妖精のようなアニーが、空中で浮かんだままポーズを取るための身体機能、舞台技術、それを華麗に見せるための照明技術、そして、優雅な雰囲気を保ったままポーズを維持するための芸、それぞれがマッチしているからこそ、このシーンが見事に輝いて見えるのです。

■作品評価
 私はこの作品を素晴らしいと思いましたが、どうやら米国の批評家たちの評価は違っていたようです。『VULTURE』(2018年2月13日)によると、『Rotten Tomatoes』では、批評家レビュー203のうち、55%が支持し、45%が不支持だったそうで、平均評価は10点中6点でした。また、『Metacritic』では、批評家レビュー43の平均点は100点中、48点でした。

 批評家からの評価が低く、興行一週間の成績が悪ければ、その後、興行的に成功しようがありません。

こちら →
http://www.vulture.com/2018/02/the-sneaky-slow-burn-success-of-the-greatest-showman.html

 上記にまとめられているように、当初、批評家からの評価が低く、公開後3日間の収益はわずか800万ドルだったそうです。ところが、実際に映画を見た観客の評価がよく、SNSや口コミで広がった結果、公開2週目の週末には1550万ドル、3週目の週末は1380万ドルと上昇しました。

 そこで、Box Office MOJOを見てみると、2018年3月19日時点のデータで、米国内の興行収入は169,836,171ドル、海外収入は229,414,675ドルで、総計399,250,846ドルでした。米国内が42.5%、海外が57.5%という構成比です。製作費が8400万ドルですから、この時点で製作費の4倍以上の収益をあげていることになります。

 19世紀の、それほど著名でもない米興行師を取り上げた伝記ミュージカル作品としては、上出来の数字ではないかと私は思います。21世紀の観客に見てもらうために、製作陣がどれほどの努力を傾けたのか、考えてみるのも一興でしょう。

 まず、批評家の評価が芳しくなかったということ、これは公開第一週の興行収入に大きく影響しますし、その後の展開をも左右します。ですから、批評家の評価を高くするのが、製作陣営の戦略のはずですが、それが機能しなかったということになります。

 たしかに、扱っている人物が19世紀のあまり名の知られていない興行師ですし、ストーリーもハリウッドでは当たり前の成功譚です。しかも、結末があまりパっとしません。

 終盤にかけてのバーナムは、火事で劇場が焼失し、財政困難に陥ります。どうなることかとハラハラさせられますが、事業パートナーのカーライルの支援で劇団そのものは再建させることができました。興行も野外にテントを張って再開することができ、大成功を収めました。いってみれば、クライマックスです。

 その後、バーナムはショービジネスをパートナーのカーライルに譲り、自分は家族の元に戻るという展開です。それまでに妻が実家に帰ってしまうという伏線が敷かれていたとはいえ、この結末は事業欲の塊のようだったバーナムの姿とはマッチしません。

こちら →
(http://www.brandiconimage.com/2018/01/golden-globes-2018-full-list-of-winners.htmlより)

 人物像として一貫性に欠け、安易な結末に走ってしまっています。そんなところが、批評家から辛く評価された原因なのかもしれません。あるいは、ストーリーがハリウッドの定石通りで、新鮮味がなく、訴求ポイントが見当たらなかったところが原因だったのかもしれません。いずれにせよ、批評家としては持ち上げる材料に欠ける作品だったのでしょう。

 ところが、観客主導で、この作品は次第に評価を得ていきます。

■人類の祝祭、そして、賛歌
 さて、これまで見てきたように、批評家たちはこの作品を肯定的に評価しませんでした。ところが、実際にこの映画を見た観客がSNSや口コミでこの映画の良さを拡散していきます。結果として、ヒットにつながっていくわけですが、なぜ、観客は批評家たちと違って、この映画を肯定的に捉えたのでしょうか。

 それに関連すると思われる興味深い記事を見つけました。この記事によれば、アカデミー賞授賞式でキアラが歌った「This is Me」の圧倒的なパフォーマンスに共演者、ブロードウェイが続々と絶賛コメントを寄せているというのです。

こちら →http://front-row.jp/_ct/17151729

 この曲は第90回アカデミー賞歌曲賞にノミネートされましたが、残念ながら、受賞はしませんでした。それでも、多くのヒトがツィートしたり、SNSから賛辞を送ったりしたといいます。この曲こそ、映画「グレーテスト・ショーマン」を成功に導いたといえるでしょう。それでは、この曲が観客の心をぐいと鷲づかみにした理由は一体、なんだったのでしょうか。

 おそらく、「This is Me」には多様なヒトへの賛歌が込められていたからではないかと思います。興行師バーナムが提供したフリークショーに、観客は人類の祝祭への賛歌を感じたでしょうし、翻って、自分自身への賛歌を感じたからかもしれません。ヒトが、何事も恐れることなく、恥じることなく、誇りを抱いて生きていくことへの賛歌を、この映画に感じられたからではないかと思います。音楽とパフォーマンスが素晴らしく、久々に身も心も弾む映画を見た思いがしました。(2018/3/21 香取淳子)

NHK文研フォーラム2018:「メディアの新地図」に何を見たか。

■NHK文研フォーラム2018の開催
 3月7日から9日にかけて、NHK放送文化研究所主催のシンポジウムが開催されました。

こちら →http://www.nhk.or.jp/bunken/forum/2018/pdf/bunken_forum_2018.pdf

 私は時間の都合で、3月7日のセクションA「欧米メディアのマルチプラットフォーム展開」にしか出席できませんでしたが、総じて、充実した内容だったと思います。

 このセクションでは、アメリカから招聘した二人のゲストによるメディアの現状報告、そして、NHK研究員によるイギリスメディアの現状報告が行われました。とくに、アメリカメディアの担当者、お二人のスピーチが、私には興味深く思われました。

 一人はメレディス・アートリー氏(CNNデジタルワールドワイド上席副社長兼編集長)で、もう一人は、エリック・ウォルフ氏(PBSテクノロジー戦略担当副社長)です。民間のメディア組織(CNN)と公共のメディア組織(PBS)をパネリストとして選ばれたのはとても良かったと思います。しかも、お二人には、テクノロジーの変化を重視し、組織改編を行ってきたという点で共通性がありました。

 今回は、お二人のスピーチに触発されて、私も帰宅してからいろいろ調べてみました。その結果、激動する「メディアの新地図」の中になにかしら見えてくるものがありました。まだぼんやりとしているのですが、そのことについて書いてみようと思います。

■マルチプラットフォーム展開は不可避か?
 2017年3月29日、コロンビアジャーナリズムレビューに、「The Platform Press: How Silicon Valley reengineered journalism」というタイトルの論文が発表されました。

こちら →
https://www.cjr.org/tow_center_reports/platform-press-how-silicon-valley-reengineered-journalism.php

 これは、コロンビア大学大学院ジャーナリズム学教授のEmily Bell氏とブリティッシュコロンビア大学デジタルメディア学准教授のTaylor Owen氏による共同執筆の論考です。

 冒頭、ソーシャルメディアのプラットフォームとIT企業が、アメリカのジャーナリズムにかつてないほどの影響力を行使するようになっていると記述されています。2016年の米大統領選でSNSの威力を見せつけられましたが、どうやら、その後さらに、FacebookやSnapchat、Google、Twitterなどのソーシャルメディアが勢いを増しているようです。

 いまや、コンテンツを配信するという役割を超えて、視聴者が何を見るか、誰を登場させれば彼らの注意を引くのか、どんな様式、形態のジャーナリズムが勢いを持つのか、といったようなことまで、SNSのプラットフォームがコントロールするようになっているというのです。

 まさに、論文のタイトル「The Platform Press」通り、プラットフォームこそがメディアになってしまっているのが現状だといえそうです。だとすれば、既存メディアがマルチプラットフォーム対策を取らざるをえなくなっているのも当然のことでしょう。14のニュース組織を調査したところ、それぞれ、多様なプラットフォームを活用していることが判明しました。

こちら →
(図をクリックすると、拡大します。https://www.cjr.org/tow_center_reports/platform-press-how-silicon-valley-reengineered-journalism.php より)

 今回、パネリストとして登壇されたCNNの場合、上記の表にあるように、21のプラットフォームを活用しています。そして、PBSは、この表にはありませんが、9のプラットフォームを展開しています。

 このような現状について論文では、視聴者が情報入手手段として、モバイルメディアやソーシャルメディアにシフトしてしまったため、ニュース組織は選択の余地もなく、これに従わざるをえないと指摘しています。

 この表を見ると、一見、多様で競争的なマルチプラットフォームの選択肢が示されているように見えます。ところが、実は、Facebook、Instagram、WhatsAppなどはすべてFacebookが所有する会社なのです。

 たとえば、Facebookは2012年4月9日、Instagramを買収しています。

こちら →https://japan.cnet.com/print/35016064/

 また、Facebookは2014年2月、WhatsAppも買収しています。

こちら →http://gigazine.net/news/20140220-facebook-buy-whatsapp/

 当然のことながら、FacebookやGoogleはニュースのアクセスにもっとも影響力を行使するようになります。

 視聴者モニター会社Parse.lyによる2016年末の調査では、Facebook経由でニュースサイトを閲覧したものは45%にのぼり、Googleは31%だったと報告されています。マルチプラットフォーム主導でニュースが閲覧される状況が現実のものになっているのです。

 さらに、メディア会社が利用者とつながるには利用者を深く理解することが必要になりますが、そのためには刻々と入手できるデータこそ何よりも重要だとParse.lyのCEOはいいます。(下記URLをクリックし、ホーム画面の「Watch our CEO talk data」をクリックするとCEOのトークページに移動します。)

こちら →https://www.parse.ly/

 利用者がコンテンツの何にどれだけ注目しているか、どの段階で、そのコンテンツから離れたのか、等々について分刻みの情報を得ることができます。その仕組みの一端はParse.ly社のHPのビデオで紹介されています。


(図をクリックすると、拡大します)

 驚きました。コンテンツは、利用者が密接なつながりを感じられるように各種、詳細なデータに基づき、制作されているのです。

 以上が、上記の論文に基づいて関連情報をチェックし、概観してみたアメリカメディアの現状です。

 それでは、お二人の見解をみていくことにしましょう。

■エリック・ウォルフ氏(PBSテクノロジー戦略担当副社長)の見解
 PBSでIT領域を担当してきたウォルフ氏は、まず、デジタル・ファースト時代の放送はコンピュータサイエンスを基盤に展開せざるを得ないという見解を示します。当初、データ主導でコンテンツ制作をするというウォルフ氏にはやや違和感を覚えましたが、さきほどの論文で明らかにされたようなメディア状況下では、当然のことなのかもしれないと思うようになりました。

 SNSやIT会社を通して上がってくる膨大なデータを前にすれば、利用者についての各種データに基づいてコンテンツ制作を展開せざるをえないでしょう。コンテンツ制作にサイエンスが不可欠の状況が訪れているのです。

 ウォルフ氏はこのような現状を踏まえ、2019年に創立50周年を迎えるPBSは、マルチプラットフォームに向けてメディア組織自体を変革し、企業風土そのものも変えていく必要があるといいます。

 さて、2017年5月1日に開催されたNAB(National Association of Broadcasters)大会でウォルフ氏は、2017年1月にPBSはマルチプラットフォームを開始し、24時間放送のPBS KidsをOTT準拠のデジタルマルチ放送で提供していることを報告しています。

さらに、デジタルチャンネルにはHTML5で構築されたインタラクティブゲームも用意し、若年層の取り込みに尽力していることを報告しています。

こちら →
http://www.etcentric.org/nab-2017-nextgen-tv-will-bring-innovation-new-revenues/

 新たに立ち上げたというPBS Kidsをチェックしてみました。

こちら →http://pbskids.org/

 これは、アメリカ国内でしか見ることはできませんが、いつでも、どこでも、利用できるデバイスによって、コンテンツを享受できるヒトが増えるとすれば、公共放送であるPBSの使命を果たしたことになります。

■メレディス・アートリー氏(CNNデジタルワールドワイド上席副社長兼編集長)の見解
 CNNに入社以来8年、デジタルワールドワイドの運営、そして、編集長として400人ものデジタルジャーナリストを抱えるアートリー氏は、メディア会社にとってマルチプラットフォーム戦略は不可欠だという見解を示します。そして、図を示しながら、CNNがどのようなマルチプラットフォーム戦略を展開しているかを説明してくれました。

こちら →
(図をクリックすると、拡大します。
https://www.cjr.org/tow_center_reports/platform-press-how-silicon-valley-reengineered-journalism.php より)

 アートリー氏は、メディア会社にとって利用できる選択肢がいまや、きわめて複合的になっている現状を指摘します。

 CNNを基盤に見た場合、そのもっとも内側の円に、CNN Desktop(Sept 1995)、CNN Mobile Web(Feb 1999)、CNN Mobile Apps(Sept 2009)、CNNgo(Jun 2014)など、CNNが所有するプラットフォームを配しています。これらがCNNのメディア組織のコアを形成しています。

 その次のレイヤーには、YouTube、Android TV、Apple TV、Amazon Fire TV、Rokuなど、映像プラットフォームを配しています(この図にはありませんが、2017年7月にSamsungが加わりました)。

 そして、その次のレイヤーにSNSを配しています。Facebook Live、Facebook Instant Articles、Facebook Messenger、Facebook News Feed、Instagram、Instagram Stories、Twitter、Twitter Moments、LINE、Snapchat、Snapchat Discover、Kikなど。これを見て、気づくのは、Facebook関連企業が多いことです。

 外周を形成しているのが、新規サービスおよび既存プラットフォームにはないサービスを提供するプラットフォームです。これは、Samsungが提供するWatch、Edge、VR、Bixbyの4サービス、Appleが提供するWatch、Newsの2サービス、Googleが提供するAMP、Newstand、VR Day Dream、Home、AMP Storiesの5サービス、Amazonが提供するEcho、Showの2サービスで構成されています。

 現時点では、上図にあったOculus Riftがなくなり、新たに、SamsungのBixby(2017年8月)、GoogleのAMP Stories(2018年2月)、AmazonのShow(2017年6月)が加わっています。このようにサービス内容によって適宜、プラットフォームを入れ替えしているようですが、ここで気づくのは、Googleが提供するサービス利用の多さです。

■マルチプラットフォーム展開で重要なのは何なのか
 さて、上図で示した各プラットフォームはレイヤーごとに色分けされています。それぞれ、どのコンテンツをいつ、どのように提供するかを決定するのが重要だとアートレイ氏はいいます。決定に際しては、たった一人で行う場合もあれば、チームで決定することもあるようです。内容と状況によってこれも適宜、迅速に判断されているのでしょう。

 CNNのマルチプラットフォーム展開をざっとみてきました。コントロールしやすいか否か、機能が有効か否か、拡張性があるか否か、等々で弁別されているように思えました。ます、コア部分をCNNが所有する陣営で運営し、それ以外はレイヤーごとに機能分担させていること、コアの次に、映像プラットフォーム、その次に、SNSプラットフォーム、そして、外周に新規プラットフォームを配するという戦略でした。

 これについてアートレイ氏は、視聴者がさまざまなら、プラットフォームもさまざまCNNとしては、幅広く着実にコンテンツ配信ができるようにしていると説明しています。コア部分を取り巻くように、レイヤーで区分けしたマルチプラットフォームを周到に張り巡らし、視聴者をくまなくつなぎとめていく戦略に新たな時代の到来を感じさせられます。

 それでは、マルチプラットフォームの展開に際し、何が重要になってくるのでしょうか。

 アートレイ氏は、5つの教訓を教えてくれました。すなわち、①コントロールできることとできないことを知る、②薄く、手広くやりすぎない、③有能なスタッフを雇用し、育成し、迅速に対応する、④新しいパートナーやプラットフォームに対する成功戦略を決める、⑤最初にやる必要はない、等々。

 とくに印象深かったのが、①自社がコントロールできることとできないことをしっかりと把握する、という教訓でした。この教訓は、Facebookがアルゴリズムを変えたことから得たものだとアートレイ氏はいいます。

 Facebookにとってはアルゴリズムを変えなければならなかったのでしょうが、CNNにとってはそうではありません。この一件から、自社がコントロールできるプラットフォームを持つことが重要だと悟ったというのです。プラットフォームに対するアートレイ氏の考えがよくわかる教訓でした。

■メディアの新地図に向けて
 帰宅してから、ネットをみていると、興味深い記事がみつかりました。2018年1月17日付け「DIGIDAY」の記事で、アートレイ氏に対するインタビューが載っていました。タイトルは「CNN’s Meredith Artley : ‘We don’t put all of our eggs in the Facebook basket’」というものでした。

こちら →
https://digiday.com/podcast/cnns-meredith-artley-dont-put-eggs-facebook-basket/

 ここでアートレイ氏は、「バランスの取れたポートフォリオを持つことが必要だ」と述べています。まさにタイトル通り、いくら有益だといってもFacebookに依存しすぎないよう、プラットフォームの構成にはバランスを考慮する必要があるというのです。

 さきほどの図を見てもわかるように、CNNはニュース配信に際し、さまざまなプラットフォームと提携していることが明らかです。とくに、気になったのが、Facebookとの結びつきの強さでした。

 アートレイ氏はこれについて、「Facebookはとても重要だ。Facebook Watchと提携すると、4分以上CNNを視聴する人が200万人から300万人に増えた。我々はこのことに重大な関心を寄せているが、かといって、Facebookというバスケットに我々の卵をすべて入れるようなことはしない」といっています。ユビキタス環境を提供し、視聴者増加に寄与してくれるFacebookはとても重要だが、それに頼り切ることは危険だというのです。

 一方、PBSのウォルフ氏も、マルチプラットフォームは重要だという認識を示します。2019年には設立50周年を迎えるので、マルチプラットフォームの充実に向けてメディア組織の改革を図らないといけないともいいます。

 ただ、PBSはオンラインでコンテンツを提供しながらも、軸足は放送に置いているようです。ウォルフ氏は、あらゆるヒトにコンテンツを届けるのがPBSの使命なので、まずは、ヒトが繋がりたいと思うコンテンツを制作し、次に、配信チャンネルを考えるというのです。そして、何よりも重視するのが、人々からの信頼だといいます。

 帰宅してから、ネットで調べてみると、PBSは2018年2月5日、「TechConAgenda 2018」という報告書を刊行していました。

こちら →
http://pbs.bento.storage.s3.amazonaws.com/hostedbento-prod/filer_public/TechCon%202018/Agenda%20items%20-%202018/TechConAgenda2018.pdf

 興味深いことに、目次に「closed captioning」の項目がありました。公共放送だからでしょうか、アクセシビリティへの目配りが感じられます。

 ここで議論のポイントとして提示されたのが、コンテンツに字幕をつけることのメリットは何か、ウェブにどう対応させるのか、あらゆるチームサイズ、あらゆる価格帯でのツールとオプションはどのようなものか、FCC規制の変更に先んじることができるのか、アーカイブは急速な変化への対応に寄与するのか、小規模なチームとして働きやすい組織システムはどのようなものか、等々でした。

 マルチプラットフォーム展開を考えていくなら、この点も考えていく必要があるでしょう。ありとあらゆる視聴者に向けてコンテンツを配信するのが使命だというなら、なおのこと、デバイスの違いを超えて、字幕をどうするのかも考えていく必要があるでしょう。

 テクノロジー主導でいま、テレビを見るということ自体に大きな揺らぎが見られるようになっています。電車の中でもイヤホンをつけ、スマホでテレビを見ているヒトを多く見かけるようになりました。いつでも、どこでも、デバイスを超えてコンテンツが配信されるようになっていることが実感されます。

 CNNとPBSのお二人を招いてのシンポジウムは充実しており、現在のメディア状況を考える上で、大変、有意義でした。お二人の話を聞いていると、ユビキタス環境が一段と整備されてきたように思えます。アメリカのメディア状況を通して「メディアの新地図」を見た思いがします。

 コンテンツの配信が、いつでも、どこでも、誰にでも、届けることができるようになった環境下でいったい何が重要になるのか、視聴者の側も改めて、考えていく必要がありそうです。(2018/3/10 香取淳子)

拡大するアニメ市場、いま必要なものは何か。

■「放送文化基金研究報告会2018」への参加
 2018年3月2日、ホテルルポール麹町の2F「サファイア」で、「放送文化基金研究報告会2018」が開催されました。報告は2件、①技術開発部門で平成27年度助成を受けた藤田欣裕氏(愛媛大学大学院理工学研究科教授)、②人文社会・文化部門で平成26,27年度助成を受けた小泉真理子氏(京都精華大学マンガ学部准教授)のお二人でした。

 私は小泉氏の発表に興味がありましたので、第2の報告「日本アニメーション現地化の現状と課題 ~文化ビジネスの発展のために~」が始まるころから出席しました。小泉氏の発表時間は20分でしたが、パワーポイントを使ってわかりやすく調査研究の報告をされました。

■ローカライゼーションの現状と課題
 小泉氏はまず、図を示しながら、これまで文化と経済は別物であったという認識を示されました。

 たとえば、伝統実演芸術、美術館などは経済的な自立が困難で、政府などからの資金援助がなければ存続できません。文化を経済として語ることはできなかったのです。ところが、映画や放送番組、ゲームのように、複製技術による商業化が可能になると、文化も経済的に自立することができます。こうして、いまや、文化は産業の一つのセクターとして位置づけられるようになっています。その一つが海外で人気の高い日本のアニメ産業です。

 小泉氏は、1990年から2010年までの日経平均株価の推移とアニメ産業の市場規模の推移を比較し、日本経済が低迷していた時期でも、日本のアニメ産業の市場規模は拡大し続けたと指摘されました。実体経済に左右されずに収益を得ることができるのがアニメ産業だというわけです。

 ところが、日本のアニメは海外で高い人気を誇っていながら、それに応じた収益を上げるに至っていません。そこで、小泉氏は、「コンテンツビジネスのフレームワークを提示すること」を目的に、ローカライゼーションの現状を把握することに着手されました。

 日本アニメのビジネス環境を整備するため、まずは、ローカライゼーションの現状と課題を明らかにし、日本アニメの輸出に必要なコンテンツビジネスのフレームワークを提示するというのです。米国を事例に、関係者へのインタビュー、関連映像の視聴分析、関連データの分析等々を踏まえ、実態把握が行われました。

 その結果、①ローカライゼーション体制としては、1.全世界を視野に入れた効率的なローカライゼーション体制の構築、2.制作段階からローカライゼーションを視野に入れた手法の確立、②ローカライゼーションのための改変としては、1.ストーリーを理解するための字幕や吹き替え、2.文化の違いによる摩擦を回避するための改変、3.作品の質を高めるための改変、③ローカライゼーションにおける留意点としては、1.オリジナル作品の魅力を維持する配慮が必要、等々が示されました。

 そして、今後のローカライゼーション研究に期待するとともに、的確なローカライゼーションを踏まえたビジネス基盤の整備に向けた努力が必要だと結んでいます。とても有意義な研究内容だと思いました。

 以上、概略をご紹介しただけですので、詳細をお知りになりたい場合、下記をご参照ください。

*****
小泉真理子、「コンテンツのローカライゼーション・フレームワークに関する研究―米国の日本アニメビジネスを基にー」、『文化経済学』第14巻第2号、2017年9月。
*****

 小泉氏の報告に興味を覚え、帰宅してから、ちょっと調べてみました。日本動画協会の2017年版報告書によると、小泉氏が調査されたころに比べ、日本のアニメ市場は、海外市場で大幅に売り上げを伸ばしていました。

■日本アニメ、海外市場の拡大
 「アニメ産業レポート2017」を読むと、2016年のアニメ産業市場は4年連続で売上を更新しており、前年比109.9%も上昇していました。総額はなんと2兆9億円、2兆円を突破していたのです。

 そこで、アニメ市場をジャンル別でみると、前年比で増加したのが、「映画、配信、音楽、海外、ライブエンタテイメント」の5つです。それに反し、減少したのが、「TV、ビデオ、商品化権、遊興」の4つでした。とても興味深い結果です。

 この結果を見ただけで、アニメの領域でも、明らかにメディアの新旧交代が起こっていることがわかります。

 そこで、過去4年間の売上推移を国内、国外でみると、国内市場は、1.19兆円(2013年)、1.30兆円(2014年)、1.24兆円(2015年)、1.23兆円(2016年)でした。それほど大きな変化はありません。

 一方、海外市場は、2823億円(2013年)、3265億円(2014年)、5823億円(2015年)、7676億円(2016年)といった具合で、大きく伸びているのがわかります。明らかに、海外市場が牽引する格好で、日本アニメの市場規模が拡大していたのです。

 メディアもこのことを大きく報じました。以下は、FNNニュースの一画面です。

こちら →
(http://www.sekainohatemade.com/archives/52003より。図をクリックすると、拡大します)

 これを見ると、さらに興味深いことがわかります。総売上に占める金額でもっとも多いのが、海外での売上で7676億円、以下、アニメグッズの5627億円、その他の2829億円、パチンコ・パチスロの2818億円、そして、テレビ局番組の1059億円の順でした。国内のさまざまなアニメ関連ジャンルの売上よりもはるかに海外売上の方が多いのです。これを見ても、海外市場の拡大によって、日本アニメ市場が拡大していることを確認することができます。

 具体例を見てみることにしましょう。

■テレビ東京の場合
 アニメに力を入れているテレビ東京の場合、2017年第3四半期のアニメ事業売上は前年同期比24.2%増の128億円、そのうち粗利益は20.0%増の47億円でした。

こちら →
(http://gamebiz.jp/?p=177948より。図をクリックすると、拡大します)

 テレビ東京によると、アニメ事業については、前年度国内で好調だった「妖怪ウォッチ」の商品化の取り扱いが減少する一方で、海外市場で、「NARUTO」と「BEACH」が、いずれもゲームや配信で売上が増加したといいます。

 テレビ東京の直近のデータを見ても、海外市場と新媒体でアニメ市場が拡大していることがわかります。こうしてみてくると、海外市場をさらに拡大していくには、ローカライゼーション体制の整備だけではなく、新メディアに向けた迅速な対応が求められていることがわかります。

 日本動画協会は、今後アニメビジネスを成長させるエンジンとして、スマートフォンを中心に展開されているアプリゲームだという認識を示しています。実際、「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」は中国向けにローカライズされて大きくヒットしたといいます。

 何もアニメに限りません。きめ細かなスマートフォン対策はどの領域でも不可欠になってくるでしょうし、巨大な市場である中国に向けたローカライゼーションも考えていく必要があるでしょう。

■拡大するアニメ市場、いま、何が求められているのか。
さて、2017年10月24日、「アニメ産業市場規模初めて2兆円超え」というニュースについて、慶應義塾大学大学院教授の中村伊知哉氏は、以下のようにコメントしています。

「2兆円届きました!10%の拡大。このうちTV・映画・DVDなど国内コンテンツはわずか3000億円。海外が32%増の7700億円となり、政策の後押しもあっての海外シフトが鮮明になりました。グッズなどの商品化ビジネスも5800億円。アニメはコンテンツ「を」売るから、コンテンツ「で」稼ぐビジネスになっています。」
(https://newspicks.com/news/2577790/より)

 たしかに、2013年から2015年にかけては、ジャパン・コンテンツ ローカライズ&プロモーション支援助成金」(略称:J-LOP)はそれなりの役割を果たしてきたと思います。

海外展開に必要な 「ローカライズ」(字幕や吹替えなど)や「プロモーション」(国際見本市への出展やPRイベント実施など)への支援等に助成金が出されてきました。実際、アニメ関連でも事業者がこの制度の支援を得ていることがわかります。

こちら →https://www.vipo.or.jp/j-lop-case/

 ですから、日本アニメの海外市場拡大についてもなんらかの影響があったのかもしれません。ただ、このページをざっと見た限り、「ドラえもん」など、既存アニメに依存している傾向が感じられます。

 すでにコアな日本アニメファンが世界中に散らばっているのだとすれば、既存コンテンツの新規市場の開拓よりもむしろ、新規コンテンツの開発を目指す必要があるのではないかと思いました。

 日本アニメの海外市場が拡大しているいまこそ、魅力的なコンテンツを継続的に提供していくために、いま、何が必要なのか、考えていく必要があるのではないかと思いました。そのためには、日本アニメのどの側面が海外市場で支持されているのか、ファン層別、国別、文化圏別に、さらにきめ細かな研究が必要になってくるでしょう。(2018/3/4 香取淳子)