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高市内閣2.0 ②:国家情報局の設置、いつまで「スパイ天国」の名に甘んじようとするのか?

高市内閣2.0 ②:国家情報局の設置、いつまで「スパイ天国」の名に甘んじようとするのか?

■国家情報局の設置

 2026年2月24日、高市首相は衆議院本会議で、内閣情報調査室を国家情報局に格上げすると表明しました。今国会で提出予定の法案、61本の内の一つが、国家情報局の設置だと述べたのです。

こちら → https://www.youtube.com/watch?v=ew4r5e81Ays

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 国家情報局とは、関係機関から情報を収集して集約し、その分析結果を活用するための組織です。さらに、外国からの不当な干渉を防止するため、必要な制度設計を進め、そのための対策を講じるともいいます。

 前回、ご報告したように、今回の総選挙では、さまざまな人やメディアから中国寄りの情報戦をしかけられたばかりか、SNSを使った巧妙な認知戦も浴びせられました。幸い、中国が企図した結果にはなりませんでしたが、喫緊にカウンターインテリジェンス対策を講じなければならないことがわかりました。

 国家情報局の設置は、自民党と維新の会との覚書にすでに明記されていました。

こちら → https://storage2.jimin.jp/pdf/news/information/211626.pdf

 2025年10月20日に、自民党と維新の会との間で覚書が交わされました。覚書の第5条に、「インテリジェント政策」が設定されており、具体的な内容として6項目挙げられていました。そのうちの一つが、「内閣情報調査室を国家情報局に格上げ」するというものです。

 調べてみると、内閣情報調査室は、1952年に創設されていました。「内調」といわれる組織で、昭和27(1952)年に総理府に内閣総理大臣官房調査室として設置されました。その後、さまざまな機能を追加しながら、現在に至っています。

 今回、自民党が提案しているのが、インテリジェンス機能の強化です。

■カウンターインテリジェンス

 自民党がインテリジェンス機能強化に向けた提案を、日経新聞は8項目にまとめ、提示しています。

(※ 日経新聞、2026年2月25日)

 いずれも、2025年10月20日に発行された自民党と維新の会との合意書で、第5項「インテリジェンス政策」として取り上げられています。「国家情報局の設置・運用」に向けた提案が5件、「カウンターインテリジェンス・対外情報収集」に向けた提案が3件、といった具合です。

 「カウンターインテリジェンス」は、聞きなれない言葉ですが、これは、外国やテロ組織によるスパイ活動、破壊活動、情報窃取から、国家や企業の人・施設・情報を守る防衛活動を指します。

 直近では、2026年2月28日に行われたイスラエルとアメリカによるイラン攻撃に、カウンターインテリジェンスの典型例が見られます。

 まず、イスラエルとアメリカがイラン攻撃について、どのように発表し、どのような声明を出したのかとみてみることにしましょう。

■イラン攻撃の声明

●イスラエル

 イスラエルの国防省は28日朝(現地時間)、イランへの先制攻撃を始めたと発表しました。「イスラエルへの脅威を排除するため」としており、イランへの攻撃を発表した直後、イランの首都テヘランでは少なくとも3回の爆発音が響きました。そのうちの一つはテヘラン大学の近くとみられています(※ 読売新聞オンライン、2026年2月28日15分41)。

 イスラエルのネタニヤフ首相は、FOXニュースで次のように述べています。

 「イランは新たな拠点や施設と地下壕の建設に着手した。もし、いま行動しなければ彼らの弾道ミサイル計画と核爆弾開発は数か月以内に手が出せなくなり、将来いかなる行動を取ることも不可能になっていたはずだ」

 このようにイラン攻撃の正当性を主張したうえで、イラン国民が民主的に選ぶ政権を樹立するために条件を整えると述べました。そして、トランプ大統領がいなければ、この作戦は実行に移されなかったと感謝しています。

 これに先立ち、ネタニヤフ首相は、2月1日のイランからのミサイル攻撃で9人が犠牲となったイスラエル中部の現場を視察し、「テヘランの暴君(イラン)は民間人を標的にしている。我々は民間人を守るためにイランを攻撃している」と述べました。

(※ TBSニュース映像より)

 実は、イランでは攻撃された2月28日、南部の小学校で165人が犠牲になっていました。これについてFOXニュースの記者が問いかけても、ネタニヤフ大統領は何も答えず、その場を立ち去ったといいます。

●アメリカ

 米紙ニューヨーク・タイムズは2月28日、米当局者の話として、米軍によるイラン攻撃が進行中と報じました。イスラエル軍と協調して攻撃に踏み切ったとみられると報じられていました(※ 読売新聞オンライン、2026年2月28日15分41)。

 一方、トランプ大統領はイラン攻撃について、次のようにスピーチしています。

こちら → https://www.youtube.com/watch?v=0CXYMb2IN0M

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 トランプ大統領は、「過去36時間にわたり、アメリカとその同盟国は『壮絶な怒り作戦』を発動した」と述べ、「イランの元最高指導者、アヤトラ・ハメネイは死亡した」と宣告しました。そして、「イラン革命防衛隊、イラン軍、警察に対し改めて警告する。武器を捨て自らの罪を認めろ。さもなければ確実な死が待っている。惨めな最期となるだろう」と警告しています。

 アメリカ中央軍は2月28日、イランを攻撃した際の映像を公開しました。

こちら → https://youtu.be/MTwac6J34Vg

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 艦艇からミサイルが発射された瞬間、衛星から撮影されたと思われる爆撃地の白黒の映像、ミサイルで目標が破壊される瞬間など、衝撃的な映像が次々と映し出されました。実際に死傷者の姿は映し出されていませんが、爆発の先には多数の死傷者がいるはずです。

 アメリカ軍は悪びれることもなく、攻撃映像を公開しました。堂々と犯行声明を出しているようにも見えます。

 イスラエルとアメリカがイランとの外交の場を放棄し、いきなり武力に訴えたことによって、中東で新たな戦争の口火が切られたのです。

 実際、イランの革命防衛隊は3月2日、イランとオマーンの間に位置するホルムズ海峡を封鎖したと述べました。「通過を試みる船舶はすべて焼き払う。この地域から一滴の石油も流出させない」としています(※ TBS、2026年3月3日)。

 2月28日、ハメネイ師と政権中枢の人々は、まさにピンポイントで攻撃され、殺されました。イランは一挙に首脳陣を失い、国家体制を喪失してしまったのです。司令官を失ったイラン革命防衛隊は、いわば手負いの獅子となってしまったのです。

 関連諸国を含みながら、中東では攻撃の連鎖が続くことになるでしょう。

 それにしても、なぜ、一国の首脳陣が、いとも簡単に攻撃され、抹殺されてしまったのでしょうか。イラン攻撃に至る、イスラエルとアメリカの動きを振り返ってみましょう。

■ネタニヤフとトランプ、イラン攻撃直前の動き

 アメリカとイランは2026年2月6日、2025年の攻撃以降はじめての核協議を開催しました。この時、アメリカは軍事行動に出る可能性を示唆しながら、イランに譲歩を迫っていました。当然のことながら、議論は平行線をたどったままでした。

 その数日後、イスラエルのネタニヤフがアメリカを訪れ、イランに対する攻撃開始について協議しています。

 トランプ大統領とネタニヤフ首相がイラク攻撃について会談をする一方、その背後で、モサド(Mossad、イスラエル諜報特務庁)とアメリカの対外情報機関CIA( Central Intelligence Agency、中央情報局)が動いていました。

 モサドは、ハメネイ師やイラン首脳陣の情報収集に努め、それらの情報を踏まえ、行動パターンを割り出しました。それに基づき、CIAとともにイラン攻撃のタイミングと作戦を練っていたのです。

 イランが中東地域の米軍施設などに先制攻撃に出る可能性を、モサドは 把握していました。ところが、トランプ大統領は、その段階ではまだ、外交的な解決を望んでいたといいます(※ 日経新聞、2026年3月2日)。

 ネタニヤフに詰め寄られたのでしょうか、あるいは、イランが譲歩の姿勢を見せなかったからでしょうか、トランプ大統領は態度を変えました。

 2月24日の一般教書演説で、「外交を通じた解決を望むが、世界一のテロ支援国家が核兵器を保有するのは許さない」と主張し、イランとの交渉が決裂するなら、武力攻撃に踏み切る可能性を示唆したのです。

 CNNは、トランプ大統領のスピーチの該当箇所を次のように紹介しています。

 「彼ら(イラン)は今後兵器計画の再建を試みないよう警告を受けた。とりわけ核兵器に関してだ」

 「それにもかかわらず、彼らは全てをやり直そうとしている。我々はそれを根絶したが、彼らは再び最初からやり直そうとしている。そして今この瞬間も、邪悪な野望を追求している」

 トランプ大統領は、依然として合意を結ぶことを望んでいると明言する一方で、「世界一のテロ支援国家による核兵器の保有は決して許さない」と言い添えていたのです。(※ https://www.cnn.co.jp/usa/35244299.html)

 イラン攻撃の意思表明をしたのも同然でした。

 このトランプ大統領の一般教書演説から、イラン攻撃の布告を読み取っていたのが、イランのアッバス・アラグチ外相でした。

■イラン外相によるSNSへの投稿

 2月24日、アラグチ外相は、トランプ氏の演説に先立って、SNSに、「我々はいかなる状況下でも核兵器は開発せず、原子力技術の平和利用の権利も放棄しない」と投稿しました。そして、「米国側が外交を優先すれば、合意は手に届く範囲にある」と呼びかけたのです(※ 読売新聞、2026年2月25日)。

 イラン外務省の報道官も2月25日、トランプ大統領が一般教書演説で指摘した、イランの核兵器保有の意図やミサイル開発の実態などについて、「大きなウソの繰り返しだ」と、SNSで批判しています(※ 読売新聞、2026年2月25日)。

 実際、その可能性は否定できません。

 アメリカでも、トランプ大統領の主張は、情報機関の報告によって裏付けられたものではないという非難の声があがり、専門家も、イランが核能力を急速に強化できるとする大統領側近らの最近の主張に、疑問を呈していました(※ ロイター、2026年3月1日)。

 実際のところ、どちらが正しいのかはわかりません。

 ただ、中東ではイスラエルだけが核を保有していました。宿敵であるイランが核保有を切望していたとしても不思議はありません。イランが、「我々はいかなる状況下でも核兵器は開発せず、原子力技術の平和利用の権利も放棄しない」と主張するのは当然のことでした。

 ちなみに、世界で核を保有しているのは9カ国しかありません。そのうちの一つがイスラエルです。


(※ https://mirai-bridges.com/kakuhoyuukoku/#google_vignette)

 イスラエルは、核拡散防止条約(Non-Proliferation Treaty)上、核兵器の所有は認められていませんが、実際は90発も持っているのです。

 2025年6月、イスラエルは イランとの衝突で、圧倒的な軍事力と諜報力の高さを見せつけました。さらに叩いておかなければ安心できないと考えたのでしょう。以来、イスラエルは虎視眈々とチャンスを狙い、イランの政治体制を転覆させることを計画していました。

 アメリカを味方につけたイスラエルは、2026年初来、イランとの協議を重ねてきました。そして、2026年2月28日、イランの核兵器開発阻止を大義にし、アメリカと共同戦線を組み、イランを攻撃し、首脳部を崩壊させました。

■イラン攻撃の動機は?

 ネタニヤフやトランプがイラン攻撃に向かった動機付けは何だったのでしょうか?

 たとえば、ネタニヤフ首相は今年、総選挙を控えていますが、汚職や長期政権への反発が広がっており、支持は落ちていました。イランを攻撃して指導体制を転覆させれば、支持基盤が安定する可能性が指摘されています(※ ロイター、2026年1月16日)

 トランプ大統領もまた、今年、中間選挙を控えています。とくに、昨年、エプスタイン文書が公開されて以来、支持者が離れていることは事実です。2月16日、「私は潔白だ」としてエプスタインとの関係を否定していますが、トランプ支持層である「MAGA派」のトランプ離れが加速しているといわれています。(※ https://www.fnn.jp/articles/-/1008986)

 両者は、2026年に選挙によって国民の審判を受けるという点で、共通していました。「核兵器開発の阻止」という誰にも理解されやすいスローガンの下、イラン攻撃を行い、成功すれば、支持が高まるのは予想されました。選挙を控えたネタニヤフとトランプの利害が一致したのです。

 ネタニヤフとトランプは、「核兵器は開発せず、原子力技術の平和利用の権利」を主張するイランの意向を踏みにじりました。

 今回のイラン攻撃で特筆すべきなのは、ピンポイント攻撃の成功です。これは、2026年1月のベネズエラ攻撃の成功を引き継ぐものであり、勝利をもたらしたものは、インテリジェンス機能と兵器の圧倒的な差でした。

■モサドとCIAの連携プレー

 トランプ大統領は、イラン攻撃を声明したスピーチで、「ハメネイ師は我々の情報力や高度に洗練された追跡システムを逃れることができなかった」と語っていました。確かにハメネイ師や幹部たちの行動は逐一、イスラエルに把握されていました。

 会合の開催場所と開催時刻、さらには襲撃された場合の避難場所など、すべてを把握し、逃げ道を塞いだうえで、攻撃を仕掛けました。ピンポイント攻撃を成功させるだけの情報が収集されていたのです。

 背後で、イスラエルの対外諜報機関モサドが動いていました。

 モサドは、ハメネイ師の行動パターンを把握するため、日々、監視していました。彼がどこに住み、誰と会い、どのように連絡を取り、攻撃の脅威があった場合、どこに退避する可能性があるか、等々を探っていたのです。イランの首脳陣についても同様、モサドは密かに監視し、行動パターンを割り出していました。

 イランの政治指導者や軍の高官らは、普段、ハメネイ師と同席することは滅多になかったそうです。襲撃されることを極度に警戒していたからです。彼らは用心深く、連絡を取り合い、情報交換をして、意思決定をしていました。

 ところが、モサドは、ハメネイ師やイランの高官たちが、ハメネイ師の自宅の敷地内で会合を予定していることを嗅ぎつけました。最終開催時刻が、2月28日午前です。

 モサドは2月28日午前、側近らを集めたイラン首脳陣の定例会合が開催されることを把握しました。当初、夜間開催の予定だったのですが、直前になって、午前の開催に変更されました。

 ハメネイ師や首脳陣全員が亡くなったいま、なぜ、突然、開催時刻が変更になったのかはわかりません。ただ、開催時刻の変更に合わせ、イスラエルとアメリカは攻撃時刻を変更しました。

 イスラエル軍とアメリカ軍は、テヘランのパスツール地区にあるハメネイ師の邸宅に約30発の爆弾を撃ち込みました。彼らが地下シェルターに逃げ込む時間を与えずに、ハメネイ師と側近ら40人以上を殺害したのです(※ 読売新聞オンライン、2026年3月3日05:00)。

■決め手はヒューミント?

 これに関し、元自衛隊統合幕僚長の河野克俊氏は、経済学者の高橋洋一との対談で、開催時刻の直前の変更を知りえたのは、内通者がいたからだと語っていました。


(※ ユーチューブ映像より)

 河野氏は、ハメネイ師らの会合時間の変更をイスラエルが把握できたのは、ヒューミントによるものだと指摘し、モサドや米英の情報機関は、インテリジェンス能力がきわめて高いと述べています(※  https://www.youtube.com/watch?v=eXSJF84NxvA)。

 実は、それだけではありませんでした。

 モサドの内情に詳しい二人の人物が、英紙「フィナンシャル・タイムズ」に語ったところによると、テヘランの交通監視カメラのほぼすべてが、何年も前にハッキングされていました。映像は暗号化されてイスラエルにあるサーバーに送信されていたといいます。

 最も重要で、かつ有益だったのが、ハメネイ師の邸宅に近いパスツール通りに、絶妙な角度で設置されたカメラでした。

 このカメラからは、ハメネイ師の警護にあたる護衛や車の運転手たちが、車をどこに駐車するかを把握することができました。さらに、厳重に警備された施設の中の日常的な動きをそのまま見ることができました(※ COURRiER Japon、2026年3月3日19:00配信)。

 モサドは、尾行、観察してハメネイ師らの情報を把握していただけではなく、テヘランに設置された交通監視カメラをライブで見られるようにしていました。人を使い、機材を使って、徹底した情報把握を行っていたのです。しかも、どうやら内部に密通者までいたようなのです。対外諜報機関としてはこれ以上ないほど、モサドは卓越した能力を発揮していたのです。

 日本大学危機管理学部教授の小谷賢氏は、「情報の収集と分析と評価までをインテリジェンスと呼ぶ」と定義づけ、そのカテゴリーを次の5つに分類しています。

(※ https://www.youtube.com/watch?v=Sv51z6JNGdg&t=63s)

 上から2番目に紹介されているのが、ヒューミントです。ヒューミントとは、国が工作員を外国に送って情報を取る活動を指します。

 河野氏は、モサドが直前の時間変更を正確に把握していたのは、ヒューミントによるものだろうと推察していました。当事者しか知りえない会合時間の変更など、内通者がいなければ、わかりようがないからです。どれほど優秀な工作員だとしてもそれだけは無理でした。

 このことからは、ハメネイ師のごく近くに、内通者がいたことが示されています。

■日本のカウンターインテリジェンスはどうか?

 2026年3月6日、日経新聞は、今回のイラン攻「イラン国内のアプリや防犯カメラがハッキングされるなど、イスラエルのサイバー技術が駆使されている」と報じています。

 さらに、「SNS上でのスパイ活動や人工知能(AI)を使った市民監視も活発で、軍関係のIT企業が暗躍」しており、「軍民一体で高める”サイバー戦闘力”がイスラエルの軍事作戦を支えている」と伝えています。

 高度なIT技術力が、カウンターインテリジェンスのために駆使されており、戦闘が新たなステージに入っていることが示されています。サイバー戦闘力が問われる時代に入っていることは明らかです。

 イスラエルのITを駆使した監視網について、日経新聞は次のように表にまとめています。

(※ 日経新聞、2026年3月6日)

 人々が日常的に使う通信機器をハッキングし、情報を収集するだけではなく、ポケベルなどには爆薬を仕掛け、兵器に変えているのです。

 トランプ大統領が、イラン攻撃を声明した際、「ハメネイ師は我々の情報力や高度に洗練された追跡システムを逃れることができなかった」と語っていましたが、イスラエル軍はIT機器を兵器に変換することまでしていたのです。

 翻って、日本のカウンターインテリジェンス能力はどうなのでしょうか?

 日本はG7の中で唯一、スパイ行為を包括的に取り締まる「スパイ防止法」を持たない国です。そのため、国家機密の流出に対しても、特定秘密保護法など個別の法律で対応せざるを得ないのが現状です。

 高市首相は3月3日、政府のインテリジェンス機能強化策を議論する有識者会議を、今夏をめどに設置する考えを表明しました。スパイ防止関連法の制定や、対外情報収集能力の在り方を議題にするというのです。主要諸国に比べ、相当遅れていますが、カウンターインテリジェンス強化に向けてスタートしただけましと考えるしかないのかもしれません。

 2026年3月6日、高市政権が制定を目指す「スパイ防止法」に反対する集会が、国会内で開かれました。「市民がスパイの疑いを持たれ、冤罪事件の犠牲になりかねない」との懸念が表明され、政府の動きに対し、早期に反対の機運を高める必要があるとの主張です(※ 共同通信、2026年3月6日18:01)。

 主要メディアはほぼこれに追従する論調で報じています。

 果たして、日本はいつまで、「スパイ天国」の名に甘んじようとするのでしょうか。

(2026/03/06 香取淳子)

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