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コロナ禍の年の瀬、発酵食品の効用について考える。

コロナ禍の年の瀬、発酵食品の効用について考える。

■コロナ禍に見舞われた2020年
 2020年を振り返ってみれば、コロナに振り回された一年だったとしかいいようがありません。

 思い返せば、1月下旬に開催された新年会では、まだコロナは少し話題になっただけでした。それでも、政府はなぜ中国からの渡航を禁止しないのか、あるいは、こんなに手ぬるい対応をしていたら、あっという間に感染が広がって、大変なことになると危惧する人々がいました。ちょうど、春節の時期でしたから、多くの中国人観光客が日本に来る可能性があったのです。

 とはいえ、実際は1月下旬の段階では一般の人はまだ、それほど危機感を持っていませんでした。遠い場所での出来事にすぎなかったのです。その後、次第にマスコミの報道量が増え、通っていたジムでも、トイレのハンドドライヤーが使用禁止になりました。

 「ウイルス感染予防のため、使用を中止しております」と張り紙がされていました。それを見て、なんと過剰な反応をするのかと驚いたことを思い出します。

 実際、当初はジムで感染する人が多かったのです。

こちら → https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200225/k10012300801000.html

 このケースでは、武漢から帰国した人が利用したジムで、感染者が出ました。武漢といえば、新型コロナウイルス発生の地です。政府がチャーター機で帰国させた人々の中の感染者がジムに行き、感染を広げていたのです。

 名古屋でのケースもそうでした。

こちら →
https://www.tokai-tv.com/newsone/corner/20200304-CORONA-Jimunosyosai.html
 
 仕事や旅行で海外に出かけ、現地で感染した人が日本に帰国して、国内で感染を広げていくというパターンでした。ウイルスは明らかに海外からもたらされたものでした。

 新年会の席上、このことを予見していた人がいましたが、確かに、日本政府の対応は手ぬるく、水際作戦で失敗していたのです。

■一斉休校、緊急事態宣言
 2月末、ジムから連絡がきて、当分、ジムを休業するという通知がありました。2月28日から小中高、特別支援学級など学校が一斉休校になりましたが、それに合わせた対応でした。

こちら → https://www.mext.go.jp/content/202002228-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf

 この時も私は驚きました。何も子どもたちまで巻き添えにする必要はないのに・・・、という思いでした。当初は子どもの感染はないに等しく、感染者のほとんどが高齢者だといわれていたのです。

 取り敢えず、休校は春休み終了までということでしたが、3月13日に国会で、新型コロナウイルス対策の特別措置法が制定され、休校期間が延長されることになったのです。

 4月7日、当時の安倍首相はこの法令に基づき、緊急事態宣言を発令しました。

こちら → https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/emergency/

 まず、東京をはじめとする7都市、そして、4月16日からは、その対象を全国に広げました。それほど深刻に受け止めていなかった人々は緊急事態宣言に驚き、慌てふためき、マスク、トイレットペーパー、食料品などを買い占めるようになりました。

 店舗が閉鎖されれば、モノが手に入らず、生きていくことができません。取り敢えず、衛生用品、食糧品などを確保しておこうという行動の結果でした。当然のことながら、マスクがない、トイレットペーパーがない、…、といった状態になります。それが報道されると、さらに、買い占めが起こる・・・といった展開になっていきました。

 必要最低限の外出をと自粛を要請され、人々は自宅待機を求められました。街に出ても、ほとんどがシャッターを下ろし、スーパーなどの必要不可欠な店舗しか空いていません。図書館も映画館も美術館もなにもかも閉鎖されました。

 その一方で、「三蜜」キャンペーンが声高に叫ばれていました。

 一連の動きに私はなんとなく胡散臭いものがあると感じていました。すべての反応が大げさすぎるのです。インフルエンザでこれほど大騒ぎをするか・・・?という思いでした。なにしろ、家族、友人、知人をはじめ、身の周りで感染したという人は一人もいませんでした。それなのに、政府やマスコミの反応が大げさすぎました。何かを隠そうとしているのではないかという勘ぐりを捨てきれませんでした。

 緊急事態宣言は5月7日に解除されましたが、東京をはじめとする7大都市については5月31日まで延長されました。

こちら → https://corona.go.jp/news/pdf/kinkyujitaisengen_gaiyou0504.pdf

 実際、感染者数の推移をグラフで見ると、緊急事態宣言期間中は増え、解除後、減少しています。

こちら →
(厚生労働省資料より。図をクリックすると、拡大します)

 もっとも、このグラフを見ると、確かに1波は5月7日ごろには終わっています。ところが、その後、7月10日から9月12日ごろまで、1波よりもさらに大きな2波が訪れています。この時は緊急事態宣言を発令しておりません。健康なのか経済なのかという判断を迫られ、経済を選択したからでしょう。

 終息しかけたかと思えたころ、政府はGO-TOキャンペ-ンを展開しました。コロナ禍で多大な経済的損失を負った観光業界を救うためでした。その結果、確かに観光地は多少潤いましたが、それに付随して、感染者も激増しました。

 このグラフを見てわかるように、11月15日から現在に至るまで感染者数は増加の一途を辿っています。明らかに1波、2波よりもはるかに大きな3波が訪れているのです。ところが、政府は依然として緊急事態宣言を出していません。ただ、GO-TOキャンペ-ン第二弾を取り下げ、外出の自粛をと呼びかけるだけです。

■立憲民主党の羽田雄一郎氏のコロナ感染死
 立憲民主党の羽田雄一郎氏が12月27日に亡くなったと知って、驚きました。恰幅のいい代議士で、まだ53歳、早すぎる訃報でした。

 立民幹事長の福山哲郎氏の説明によると、羽田氏は24日夜、発熱していますが、25日から26日は自宅に滞在し、27日にPCR検査を受ける予定だったそうです。ところが、その27日に容態が急変し、都内の病院に搬送されたときにはすでに死亡していたといいます。

 28日、羽田氏の死因が新型コロナ感染によるものだったということが判明しました。さらに、羽田氏には糖尿病や高血圧などの基礎疾患があったこともわかりました。

こちら → https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE287BP0Y0A221C2000000

 報道によると、直接の死因は新型コロナ感染によるものでした。羽田氏の場合、糖尿病や高血圧症を患っていたそうですから、いったん感染すれば、重篤化しやすい状況だったのです。

 ところが、発熱後、すぐに病院に行っておらず、2日間、自宅にいたといいます。この不作為が死を招いた可能性があります

 そこで、ざっと調べてみました。すると、英キングスカレッジロンドンが、糖尿病で、血糖コントロールが不良、糖尿病合併症を発症している人の場合、新型コロナウイルスに感染すると、重症化しやすいことが明らかになっているという調査結果を得ていることがわかりました。

こちら → https://dm-net.co.jp/calendar/2020/030694.php
 
 また、米ヴァンダービルト大学医療センターでも、同様の調査結果を得ており、「糖尿病の人が、新型コロナのワクチン接種を優先的に受けられるようにするため、国の政策に求めるべきです」と主張しています(前掲。URL)

 羽田氏は糖尿病でしかも高血圧症だったといいます。いずれも多くの中高年層が罹っている生活習慣病です。私自身、コレステロール値が高く、糖尿病予備軍だといわれていますから、羽田氏のコロナ感染死は決して他人事ではありません。

 高齢者をはじめこの種の基礎疾患を持つ人は、新型コロナウイルスにどう対処すればいいのでしょうか。

 試みに、東京都の新規感染者数を見ると、9月以降、うなぎのぼりに増えています。

こちら →
(2020年12月28日付日経新聞より。図をクリックすると、拡大します)

 羽田氏が新型コロナ感染死だったことが判明した28日、東京都の新規感染者数は481人でした。

こちら → https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG283UG0Y0A221C2000000

 感染者の内訳を年代別に見ると、20代が最も多く132人、次いで、30代が107人、40代が85人と続き、重症化リスクが高いといわれていた65歳以上は50人だったそうです。

 感染リスクが高く、感染すれば重症化しやすいといわれてきた高齢者が、意外にも、若年世代に比べ、はるかに低い感染者数なのです。このような結果からは、徹底して予防すれば、感染を避けられることが示されています。

 重症化リスクが高いといわれてきた高齢者だからこそ、感染を避けるよう生活を律し、徹底した予防を心掛けてきたからでしょう。「三蜜」を避け、マスクを着用し、手洗いを心掛けて生活していれば、感染リスクを大幅に回避できることが証明されたともいえます。

 そうはいっても、さまざまな研究結果からは、高齢者、肥満した人、基礎疾患を持つ人などが重症化しやすいことが明らかにされています。

■新型コロナウイルスに負けないためには・・・?
 英ケンブリッジ大学医学部免疫学のポール・レーナ―教授は、次のように、新型コロナウイルスの特徴を説明しています。

 「COVIT-19はSARSコロナウイルスやインフルエンザとは異なり、感染して症状があらわれ体調が悪くなる1日以上前に感染力が高くなる」
(※ 「【新型コロナ】糖尿病の人は何に注意すれば良い?なぜ肥満と高齢の人は重症化しやすい?」 《糖尿病ネットワーク》、2020年10月27日)

 新型コロナウイルスにはこのような特性がありますから、感染しても本人は気づきません。その結果、知らないまま、他の人に感染させてしまう可能性がとても高いのです。ウイルス側からいえば、巧妙な拡大戦略であり、生存戦略なのです。

 一方、ヒト側からいえば、無症状という隠れ蓑の下、感染力がきわめて高い新型コロナウイルスの暴走を阻むことができません。感染者に近づかないというだけではとうてい防ぎきれないのです。感染して無症状の期間にもっとも感染力が高くなるというのですから、なんというやっかいなウイルスなのでしょう。

 さらに、新型コロナウイルスには、インターフェロン抑制活性効果があると考えられています。

 ちなみに、インターフェロンは、次のように説明されています。

「インターフェロンとは動物体内で病原体や腫瘍細胞などの異物の侵入に反応して細胞が分泌する蛋白質のこと。ウイルス増殖の阻止や細胞増殖の抑制、免疫系および炎症の調節などの働きをするサイトカインの一種である。」(Wikipedia)

 つまり、新型コロナウイルスには、異物の侵入に反応するインターフェロンを抑制したり、産生できなくする機能が備わっているというのです。人体を異物の侵入から守ってくれるインターフェロンを無効化する機能を持っているというのですから、手に負えません。

 果たして、どうすればいいのでしょうか。

■免疫機能を高めるためには?
 新型コロナウイルスへの対応手段は、ヒトが本来持っている免疫機能を高めるしかないのではないでしょうか。そう思って、ざっと調べてみたところ、乳酸キャベツに免疫力を高める効果があるということを知りました。

こちら →
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO04830350U6A710C1000000/#:~:text=%E3%82%B6%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%88%E3%82%84%E3%80%81%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%A8,%E5%BD%B9%E7%AB%8B%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%8A%E3%80%81%E5%81%A5%E5%BA%B7%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E6%8A%9C%E7%BE%A4%E3%80%82

 さっそくキャベツを買い、レシピ通りに作ってみました。上記の説明では塩を入れることになっていますが、私は塩麹を使いました。それだけではピリッとした味にならないかと思い、唐辛子を入れてみました。食べてみたところ、意外に美味でした。

 気をよくして、さらに、糖尿病、高血圧に効く食べ物はないかと探してみたところ、酢玉ねぎがいいということを知りました。

こちら → https://cookpad.com/recipe/3150878

 さっそく、玉ねぎ、蜂蜜、リンゴ酢、リンゴを買い、作ってみました。レシピとは違い、リンゴのスライスも入れてみました。毎食、サラダ代わりに食べていますが、とても美味しく、食がはずみます。

 二つの容器を並べてみました。

こちら →
(左が麹キャベツ、右が酢リンゴ&玉ねぎ。図をクリックすると、拡大します)

 果たして説明通りの効用があるのかどうか、わかりません。とはいえ、少なくとも、身体にいいといわれるキャベツやリンゴ、玉ねぎを材料にしています。しかも、発酵食品である麹に漬け込み、酢と蜂蜜に漬け込んでいます。

 容器の中でじっくりと寝かせ、それを食べるのですから、効用がないはずがありません。見ているうちに、食材が持っているそれぞれに機能に発酵の力が加わり、さまざまな効用があるのは当然のような気がしてきました。

 発酵食品を積極的に摂取して、免疫力を高めていけば、新型コロナウイルスに対処できるのではないか・・・、そう思うと、希望が生まれてきます。

■ヒトとウイルス
 世界中に猛威を振るう新型コロナウイルスに対抗するため、ヒトは次々とワクチンを開発しました。治験を経て、あるものは承認され、また、あるものは承認されようとしているところでした。

 そんな折、新型コロナウイルスの変異種がイギリスで見つかり、急速に広がっています。

こちら → https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-55391842

 英政府はこの変異種は感染力が強いとし、該当地域の人々に自宅待機を発令しました。もちろん、イギリスからの渡航も禁止しました。

 武漢発の新型コロナウイルスは、瞬く間に世界に広がりました。もうこれ以上、広がらないのではないかとヒトが安心した瞬間、ウイルスは変異し、さらに感染力を高めながら、新たな宿主に侵入していこうとしているのです。

 ヒトがウイルスに打ち勝とうとしはじめた矢先、変異種が暴走しはじめました。いまや各地で変異種が報告されつつあります。

 さまざまな変異種が出回るようになれば、いくらワクチンを開発したとしても、それがどの種のウイルスにどれほど有効なのか、それすらわからなくなってしまいます。

 そもそも新型コロナウイルスの厄介なところは、インターフェロン応答が抑制されてしまうことにありました。体内に侵入した異物を駆除しようとするインターフェロンの機能そのものを無効化してしまうのです。

 新型コロナウイルスのこの巧妙さに立ち向かうには、ヒトはいったい、どうすればいいのでしょうか。

■免疫力を高める発酵食品こそ大切?
 グローバル資本主義体制の下、ヒトと自然は分離されてしまいました。体調を崩すと、ヒトは自然の治癒力を待たず、すぐにも、薬に頼り、ワクチン、サプリメントに依存した生活を送るようになってしまいました。

 そのような生活スタイルこそが、ヒトが本来持っていた免疫力を弱体化させ、ウイルスの侵入を容易にしてしまっているのではないかと思います。

 最近、日本でも感染者数が急増していますが、それでも日本は、世界の中では比較的感染者数は少なく、死亡者数も少ないという事実があります。

 人々の移動状況、人口規模の観点からみれば、日本の感染者数は少なく、死亡者数も決して多くはありません。その理由に私は日本の生活文化が関係しているのではないかという気がしています。

 つまり、手洗いの習慣、清潔好き、発酵食品の日常的な摂取といった生活行動こそが、ウイルスの侵入を防ぎ、仮に侵入したとしても、重症化する度合いを低下させているのではないかと思うのです。

 日本には、味噌、醤油、酢、日本酒、納豆、漬物など、さまざまな発酵食品があります。人々はご飯とともに日常的にそれらの発酵食品を食しています。洋食が浸透してきているとはいえ、まだ、人々は和食も好んでいます。

 思い返せば、新型コロナウイルスに席巻された2020年でした。年末を迎えて思うことは、日本人が長年の間、育んできた、ヒトと自然、歴史と結びついた生活文化の有難さであり、日本文化の一環として育んできた和食の恵みです。

 皆さま、どうぞ良い年をお迎えくださいますように。(2020/12/30 香取淳子)

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