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デジタル・ガバメント:エストニア、会津若松市、デンマークから学べるものは何か

デジタル・ガバメント:エストニア、会津若松市、デンマークから学べるものは何か

■マイナンバーカード、各種証明書と一体化へ
 2019年7月15日付け日経新聞で、政府がマイナンバーカードと各種証明書類を一体化する方針を明らかにしたことを知りました。ハローワークカードや障碍者手帳、お薬手帳などは2021年度中に統合し、マイナンバーカード1枚で、さまざまな用途に使えるようにするというのです。利便性を高めることによって、普及を促進させるというわけでしょう。

 カードの交付実績は2019年5月末の時点で約1702万枚、3年後には1億枚以上の普及を目標とするというのですが、果たして目論見通りに普及するのでしょうか。

 政府はすでに2019年6月4日、デジタル・ガバメント閣僚会議で、「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」をまとめています。

こちら →
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/dai4/siryou1-2.pdf#search=’%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E6%99%AE%E5%8F%8A%E7%AD%96′
 
 これを読むと、上記の新聞記事もこの普及策の一環だということがわかります。今後、8月を目途に、各種証明書類との一体化を盛り込んだ詳細な工程表をまとめる予定だそうです。

 一連の流れを見ていると、政府はデジタル・ガバメントに関し、いつまでも堂々めぐりの施策立案の段階に留まっているような気がしてなりません。というのも、ほぼ同様のマイナンバーカードの普及対策は、総務省によって、3年前(平成28年7月1日)にもまとめられているからです。

こちら →
http://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/2/04%20160701jyouhouka.pdf#search=’%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E6%99%AE%E5%8F%8A%E7%AD%96′

 これをみると、マイナンバーカードを導入することによって、さまざまな行政サービスが可能になると謳われています。ところが、あれもできる、これもできる、といった盛り沢山な内容になっており、総花的で訴求力に乏しく、いまひとつ現実味が感じられません。

 何にポイントを置いて進めていくのか、早急に実現すべきものは何なのか、特段、ウエイト付けがされていないので、マイナンバーカードの普及策だといわれても、机上の空論に過ぎないように思えてしまいます。

 そう思っているときに、たまたま読んだのが下記の記事でした。

こちら →https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1906/19/news029.html
 
 「日本のデジタルトランスフォーメーションは「ディスラプション」に?今こそ欧州の中堅国に学べ!」というタイトルに引かれて読んでみたのです。なるほどと思わせられるところがありましたので、ご紹介することにしましょう。

■迷走する日本のデジタルトランスフォーメーション
 筆者の西野弘氏(HIイニシアティブ代表取締役)は、デジタルトランスフォーメーションにおける日本の凋落ぶりを、各種データから次々と明らかにします。

 たとえば、世界経済フォーラムで発表された2018年度の世界競争力レポートで日本は5位だったというのに、2019年度のIMD国際競争力ランキングで日本はなんと30位です。さらに、2018年度の世界デジタル競争力ランキングでも日本は22位でしかなく、全般に北欧を中心とした国が上位を占めています。

 もちろん、何を指標にするかによってランキングは異なってきます。そこで、評価方法をみると、IMD国際競争力ランキングでは、経済の規模だけではなく競争力の源泉となる行政の効率性や生産性、ヘルスケア、教育などが評価指標になっています。競争力が単なる経済規模から、科学研究や金融、生産性、ヘルスケアなどを重視した指標にシフトしているのです。

 国際デジタル競争力ランキングでは、ビジネスモデルや行政実務に留まらず、デジタル技術が一般社会での活用にためにどれだけ開発、適用されているかといったようなことが評価指標になっています。

 日本の場合、通信インフラの技術は優れているのですが、それ以外の分野は他国に比べ優位性があるわけでもありません。デジタル化について総合的な進化状況が問われるようになっている現在、ランキング結果が低くなってしまうのも仕方のないことなのかもしれません。

 ちなみに日本が22位であった、「デジタル競争力ランキング2018」では、1位のアメリカに次いで、シンガポール(2位)、スウェーデン(3位)、デンマーク(4位)、スイス(5位)、ノルウェー(6位)、フィンランド(7位)、カナダ(8位)、オランダ(9位)、イギリス(10位)という順になっています。欧州の中堅国、とくに北欧を中心とした国が上位を占めているのが印象的でした。いったい何故なのか、注目する必要があると思いました。

 この記事を書いた西野弘氏は、日本のデジタルトランスフォーメーションは迷走しているのではないかと指摘します。というのも、日本のIT投資額は年間10兆円を超えているのに、大した成果を挙げていないからです。先進国のはずなのに、日本のデジタル競争力が低いことには私も驚きました。

 欧州の状況に詳しい西野氏にしてみれば、日本の状況は奇妙に思えるほど進展していないのでしょう。だから、「日本がやろうとしているのはデジタルトランスフォーメーションの推進ではなく、自らの手でその可能性を破壊しようとしているのではないか」と危惧するのです。それほど日本は、巨額の資金を投与しながら、果々しい成果を挙げていなかったのです。

 そこで、西野氏は、このような現状を打開するため、日本は欧州から学ぶべきではないかと提案します。

 先ほどのランキングを見ても、欧州の中堅国が上位を占めていました。そもそも、欧州は産業革命の発祥地であり、伝統的な大企業が数多く存在します。その欧州でデジタルトランスフォーメーションがスムーズに進んでいるのですから、なにか社会文化的な要因が潜んでいるのかもしれません。

 日本がデジタルトランスフォーメーションに際し、西野氏が取り組むべきだとするのは、以下の4点です。

 すなわち、①欧州の中堅国やシンガポールのデジタルトランスフォーメーション・モデルを研究すべきである、②実証実験の段階で止まってしまうプロジェクトが多いが、社会実装にまで持ち込むべきである、③挑戦力を醸成するようにすべきである、④デジタルトランスフォーメーションは、大きな収益と社会的影響を生むと確信し、プロジェクトを実行すべきである、等々。

 そこで、思い出したのが、6月12日に開催された「日本・エストニア、デジタルガバメントフォーラム」でした。

■日本・エストニア、デジタルガバメントフォーラム
 前回(2019年6月14日)、「日本・エストニア、デジタルガバメントフォーラム」について、ご紹介しましたが、当日、私は午後から別用があって、残念ながら午後の部は出席できず、ごく一部分しか、ご紹介できませんでした。

 幸い、7月12日付日経新聞に、このフォーラムの特集記事が掲載されていました。早速、ネットで検索すると、当時の様子が日経チャンネルで提供されていることがわかりました。そこで、この映像を視聴し、何が議論されたのかを把握した上で、関連情報を加えながら、日本のデジタル・ガバメントの推進に必要なものは何なのかを考えてみることにしたいと思います。

 このフォーラムでは3つの分科会で議論を重ねた後、パネルディスカッションで分科会での議論を深め、提言を行うという段取りになっていました。ですから、パネルディスカッションの映像を視聴すれば、このフォーラムの全体像を把握できるのではないかと思います。

 それでは、まず、パネルディスカッションの映像を視聴し、日本のデジタル・ガバメントに必要なものは何なのかという観点から、印象に残ったところを中心に、ご紹介していくことにしましょう。

■パネルディスカッション
 パネルディスカッションの登壇者は、モデレーターの南雲岳彦氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング常務執行役員)、第1分科会から山口功作氏(エストニア投資庁 元日本支局長)とアルヴォ・オット氏(e-Government Academy会長)、第2分科会から安井秀行氏(アスコエパートナーズ代表取締役社長)と石黒不二代氏(ネットイヤーグループ代表取締役社長)、第3分科会から中村彰二朗氏(オープンガバメント・コンソーシアム代表理事)、三輪昭尚氏(内閣官房 情報通信政策監)の7人です。

 それでは、パネルディスカッションの映像を視聴していただきましょう。

こちら →https://channel.nikkei.co.jp/d/?p=190612estonia&s=1628

 ここで印象に残ったのは、第1分科会のモデレーターを務めた山口功作氏(エストニア投資庁・元日本支局長)のご発言でした。

 昨年まで10年間、山口氏はエストニア大使館でIDカードをはじめ、行政のデジタル化に関わってこられました。その山口氏が最初に言われたのは、日本では技術に関する議論は活発だが、概念についてはないがしろにされているように思えるということでした。

 日本ではデジタル・ガバメントに対する概念について、徹底的に議論されないまま計画が進められるので、途中まで進んでもまた最初に立ち返らなければならないことが多いと指摘されたのです。

 これを聞いて、私はなんとなく納得できるような気がしました。先ほど、いいましたように、マイナンバーカードの普及策一つとってみても、私には、いつまでも堂々巡りの段階にとどまっているようにしか思えませんでした。山口氏のお話しを聞いていて、会いナンバーカードの件も、最初の段階で議論を尽くし、市民・国民の観点から合意形成をしてこなかったからではないかと思えてきました。

■論議を尽くして、概念形成を
 さて、実際にエストニアのデジタル・ガバメントの構築に関わってきた山口氏は、以下の4点が肝要だと言われました。すなわち、①デジタル・ガバメントの概念について議論を尽くし、IDを使って何をするのか目標を定める、②必要なインフラを整備する、③システムに対する信頼を構築する、④それぞれの自治体がアプリケーションを創る、等々です。

こちら →
(パネルディスカッション、図をクリックすると、拡大します。日経映像より)

 デジタル・ガバメントの構築には行政ばかりではなく、市民、企業、教育機関、研究機関、医療機関等々、さまざまな個人や組織が関わってきます。それだけに、最初に議論を尽くし、デジタル・ガバメントの概念形成を確かなものにしておく必要があるのでしょう。

 そのような過程を踏まえてようやく、インフラの整備に向かうことができます。インフラの整備ができれば、システムに対する信頼の醸成、その後は、各自治体の必要に応じたアプリケーションの構築、といった具合に、段階的に計画を進めていくことができるのです。

 山口氏の見解に照らし合わせて考えてみると、これまで日本で行われてきたのは、行政主導のデジタル・ガバメント構想でしかなかったのではないかという気がしてきます。つまり、トップダウンで決定された施策には市民・国民の視点が欠けているからこそ、実用化段階でさまざまな不具合が生じるのではないかと思えてきたのです。

 マイナンバーカードに置き換えていえば、仮に制度自体はすばらしいものであったとしても、市民・国民の視点を欠くものであれば、受けいれられにくく、普及も進まないのは当然のことだといえます。

 日本でなぜデジタル化の推進が難しいのかといえば、明らかに、官主導、テクノロジー主導で展開されているプロジェクトだからだといえるでしょう。市民・国民の立場からデジタル・ガバメントの概念が議論され、目標が設定されていれば、その後の展開はよりスムーズだったのかもしれません。いまだにマイナンバーカードの普及で行き詰っているというようなことは起こりえなかったでしょう。

 日経チャンネルで、パネルディスカッションを視聴していると、恰好の事例が紹介されていることに気づきました。会津若松市が行っているスマートシティです。

■会津若松市の事例
 第3部会のコーディネーターを務めた中村彰二朗氏(オープンガバメント・コンソーシアム代表理事)は、「会津若松スマートシティプロジェクト」を進めています。その取組みスタンスがとても興味深いものだったのです。

 中村氏は、このプロジェクトについてまず、どうすれば、そして、何をすれば、市民が幸せを感じることができるのかということについて何度も議論を積み重ね、合意形成を経てから、地域の人々がプラットフォームを立ち上げたといいます。

 印象に残ったのは、行政、企業、大学、研究所、どこに所属していようと、全てのヒトが市民という立場からこのプロジェクトに参加し、課題に取り組んでいると言われたことでした。市長であっても、研究者であっても、皆、市民という立場でこのプロジェクトに参画し、課題に取り組んできたというのです。

 共通項は、生活基盤を会津若松エリアに置く人々です。その共通の立場で、自分たちの生活を豊かで、安心、安全なものにするために、デジタル技術をどう活用していくか、ということを考えてきたと中村氏はいいます。

 山口氏が最初に問題提起された概念形成の段階で、会津若松のプロジェクトの場合、「市民の視点、市民の立場」という基盤がしっかりと確立されていたのです。

こちら →
(図をクリックすると、拡大します。第3部会で提示された画像の一部より)

 上の図を見ると、会津若松市のプラットファームは2層で構成されていることがわかります。上段の「市民」と表示された層は、エネルギー、観光、予防医療、教育、農業、ものづくり、金融、交通など8つの領域が設定されており、このプラットフォームを基盤に市民、観光客、移住者、事業者などが情報の出し入れを行います。ここではマイナンバーカードを活用し、ワンストップで情報のインプット、アウトプットができるようになっているのです。

 その下の段が、「学」、「産」、「官」表示された層です。「学」ではIT人材の育成、「産」ではデジタル産業の集積機能移転と地元からの採用を目指し、「官」では先端プロジェクトを誘致・推進する役割を担います。まさに、デジタルトランスフォーメーションを準備し、継続させていくための層です。

 幸い、会津若松市にはIT人材の育成に定評のある会津大学があります。

こちら →https://www.u-aizu.ac.jp/intro/

 実際のデータを使って教育されたIT人材は、地域産業、街づくりの活性化、さらには行政の効率化に貢献できるでしょう。優秀なIT人材はデジタル産業を呼び込み、会津若松市に集積するようになるかもしれません。

 「市民・観光客・移住者・事業者」と表示された層は、多種多様なデータを集積したデータプラットフォームとAPI(Application Programming Interface)でつながった「学」・「産」・「官」と表示された層から、必要に応じた情報の提供を受けます。多種多様なデータが多様な媒体から自動的に収集され、それが「学」・「産」・「官」と表示された層を経由して、市民・観光客・移住者・事業者にとって有益な情報として還元されていく仕組みになっているのです。

こちら →https://aizuwakamatsu.mylocal.jp/detail?wid=44320118&cid=22534&pf=r
 
 このプロジェクトでは、市民・観光客・移住者・事業者などのエンドユーザーが情報の出し入れを行う際に使うのが、マイナンバーカードになっています。

■マイナンバーカードへの懸念は払拭できるか 
 会津若松市の事例でも、マイナンバーカードの普及が前提となっていました。スマートシティ、あるいは、デジタル・ガバメントを推進していくにはマイナンバーカードの普及が不可欠なのです。

 政府は、下記のような普及策を推進しています。

こちら →
(図をクリックすると、拡大します。2019年6月4日付日経新聞より)

 これをみると、行政側の利便性だけではなく、利用者にとっての簡便性や利点なども考慮されていることがわかります。今後、さらに普及することは確かでしょう。ただ、最終的にネックになるのは、個人情報を行政側に提供することへの漠然とした不安でしょう。

 前回の報告(2019年6月14日)でもご紹介しましたが、エストニアではX-Roadというデータ交換基盤を整備することによって、安全性を担保し、利用者に安心してもらえるようにしています。その後、スマホの普及によって、mobile ID、smart IDといった具合に、技術の進展に応じてカードを進化させており、安全性を確保しながら利便性を高めているのです。

 これに関し、第3分科会で登壇された安岡美佳氏(北欧研究所代表)が、興味深い体験談を披露してくださいました。

 安岡氏は2005年にデンマークに赴き、大型ITシステムの研究に加わってこられたそうです。以後、デンマークに滞在されていますが、当初は自分に番号が振られ、政府に個人情報が筒抜けになっていることがとても嫌だったそうです。ところが、次第にそのような気持ちはなくなっていったといいます。

 というのも、IDカードがあることで便利なことの方が多く、ネガティブなことは何も経験しなかったからだというのです。そのような経験から、安岡氏は、日本でも利用者に利点の方が多いと感じてもらえれば、不安は解消されていくのではないかといいます。

 安岡氏は、「より健康に、より幸せに、IoTがもたらすデンマーク医療・福祉のミライ」という記事を書いています。

こちら →
https://www.huawei.com/jp/about-huawei/publications/huawave/23/HW23_Better%20Connected%20Healthcare%20in%20Denmark

 高齢化率の高いデンマークでは、1968年には個人番号制度が導入され、1970年に納税記録、1977年に個人医療記録と紐づけられた結果、今ではIoTを活用して、税収を確保し、さまざまな医療サービスを提供できるようになっているというのです。

 安岡氏は、このような取組みを通して、デンマークはやがて医療福祉の分野で世界をリードしていくだろうと予測しています。

 超高齢社会の日本がデンマークの取組みから学ぶべき点は多そうです。

■超高齢社会の日本が学ぶべきことは何か?
 中村氏は、「会津若松スマートシティプロジェクト」を進めてきた経験から、プロジェクトを主導する組織はさまざまでも、皆、市民という立場から発想しなければならないと言います。それは、病院や学校、自治体、企業といった組織はいずれも市民が構成メンバーだからです。

 さらに興味深かったのが、都市OSの標準化が必要だと言われたことでした。全国に1800もある自治体がそれぞれ独自のOSを開発していては費用もかかるし、効率も悪い、エストニアやEUを参考にしながら、あるべきOSを構築する必要があるのではないか提案されたのです。

 技術のことはわかりませんが、仕様が異なれば、自治体間、あるいは国との間のデータ流通に支障があるかもしれません。お話しを聞いていて、共通のOSは必要だという気がしました。

 さて、エストニアでは現在、94%の国民がIDカードを所有し、活用しているといいますが、普及率50%に達するのに5年以上かかったといいます。普及させる過程で尽力された課題が、いかに安全性を担保するかということでした。

 試行錯誤の上、エストニアが安全なデータ交換基盤を開発したのが15年前です。分散システムの中で作動するX-Roadというデータ交換基盤を開発して以来、国民に安心してもらえるようになったそうです。

 エストニアはいまやサイバーセキュリティ領域の先進国です。セキュリティに関する知が集積されてきたからでしょう。サイバー空間で行われる戦争への既存の国際法の適用を分析した文書には、「タリン・マニュアル」というエストニアの首都名が付けられています。

 安岡氏は、デンマークでは高齢化率が23%に及び、労働者不足、国庫のひっ迫が懸念されており、その解決策として、大きな期待が寄せられているのがIoT関連機器とサービスだといいます。IoTを活用して個人情報と連結し、個々人に適切な医療・福祉サービスができるようになったというのです。そして、自助努力を基盤とした在宅介護を進めていくには、デジタル技術によるサービスが欠かせないといいます。

 超高齢社会の日本では尚のこと、デジタル・ガバメントにシフトしなければ、いずれ立ち行かなくなってしまうでしょう。

 今回のフォーラムの中では、セキュリティの面ではエストニア、市民・国民を視点にした取組みでは会津若松市、IoTを活用した医療・福祉サービスではデンマーク、それぞれの実践事例が日本の参考になると思いました。成功した先行事例から多くを学び、日本の社会状況に合ったデジタル・ガバメントへの取組みを急ぐべきでしょう。

 考えて見れば、日本の高齢化率は2018年時点で、27.7%です。できるだけ早くデジタル・ガバメントにシフトし、IoTを活用した医療・福祉サービスを提供していくのが、喫緊の課題になっています。

 今回のフォーラムは、登壇者の人選が適切で、しかも、プログラムの構成がよかったので、議論を深めた上で提言に至ることができていました。開催当日、私は午前の部しか出席できませんでしたが、その後、日経チャンネルで映像が提供されましたので、内容をフォローすることができました。参加し甲斐のあるフォーラムだったと思います。(2019/7/21 香取淳子)

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