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インターネット帝国の時代?:グーグルの野望

インターネット帝国の時代?:グーグルの野望

インターネット帝国の時代?:グーグルの野望

日経産業新聞(2014年4月23日付)を読んでいて、興味深い記事を見つけました。”「次の10億人」巡り空中戦”、”グーグルvs. フェイスブック”という見出しの記事です。

日本の中だけにいるとよく見えてこないのですが、いま、ネット企業による利用者の争奪戦が展開されています。記事はグーグルとフェイスブックの戦いに焦点を当てて報告されていますが、これがなかなか面白いのです。

■グーグル vs. フェイスブック

シリコンバレーから日経産業新聞の小川義也記者は、以下のように伝えています。

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米グーグルと米フェイスブックが無人機を使って、空からインターネット接続サービスを提供する計画を相次いで打ち出した。両雄が狙うのは「ネクスト・ビリオン(次の10億人)」と呼ばれる発展途上国の中間層。ネットの覇権を懸けた巨人同士の争奪戦は、大空を舞台に新たな局面に入ろうとしている。

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フェイスブックはすでに2011年末に「その他」地域が北米、欧州、アジアを抜いています。また、グーグルは2013年、「その他」地域の売上が米国を抜きました。両社にとって「その他」地域に向けたサービスの開発は必然なのです。

ちなみに英オックスフォード大学インターネット研究所は国別にもっともよく使われているウェブサイトをマッピングした地図を公表しました。

■オックスフォード大学インターネット研究所のデータに基づく世界地図

下図は、オックスフォード大学インターネット研究所のデータに基づきマッピングした世界地図です。

A map of the most visited website, by country.

上の図は、”Age of Internet Empires: One Map With Each Country’s Favorite Website”というタイトルの記事の中で使用されていたものです。2013年10月4日付の記事で、筆者はRobinson Meyer 氏、The Atlantic誌の編集次長です。彼は英オックスフォード大学インターネット研究所が発表した世界地図を紹介し、グーグルは欧米を中心に63か国で首位、フェイスブックは中南米や中東を中心に50か国で首位だったと報告しています。

詳細はこちら。http://www.theatlantic.com/technology/archive/2013/10/age-of-internet-empires-one-map-with-each-countrys-favorite-website/280287/

私などはこの地図を見て、中国は百度(Baidu)、日本はYahooなど、ウェブサイトの利用にも国別の違いがあることに目が向いてしまいますが、世界的観点からいうと、やはり注目すべきはグーグルとフェイスブックなのでしょう。その二強が無人機を使って、通信網の整備が遅れている地域でネット接続サービスを提供するというのです。

そして、小川記者は、「グーグルとフェイスブックの空中戦の最大の舞台になりそうなのが、国内に強いプレイヤーがいないアフリカだ」と書いています。

■インターネット帝国の時代?

インターネットのウェブサイトを通し、国境を越えて情報が流通しています。おそらく、世界認識、価値観、美意識などもウェブサイトを通した情報によって形成されるようになっているのでしょう。当然、政治、経済、社会、すべてに大きな影響を与えています。

どのウェブサイトがよく利用されているのか、それが大きな意味を持つようになってきているのです。だからこそ、英オックスフォード大学インターネット研究所が研究を開始したのでしょう。すでに、利用者を巡る争奪戦がネット企業間で展開されています。まさにインターネット帝国時代の到来といっていいでしょう。

■グーグルの野望

インターネットを制覇するため、グーグルやフェイスブックなどネット企業は次世代のボリュームゾーンに向けて、食指を伸ばしています。次の主要なターゲットは発展途上国の中産階級だというわけで、彼らに向けた空からのネット接続サービスのための技術開発、関連企業の買収に動いています。

SNSを主軸にしたフェイスブックとは違って、検索エンジン、クラウド・コンピューティングを主軸に事業を拡大してきたグーグルは目に見えない力を行使するようになっていることがわかります。ますますグーグルの動きから目が離せなくなってきました。(2014/4/23 香取淳子)

 

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