■戌年
つい先日、2018年を迎えたばかりなのに、早や1か月が過ぎようとしています。今年こそはと思って新年を迎えたのに、予定通りにコトが運ばないまま、すでに一か月が過ぎてしまいました。ちょっとした焦りを覚えてしまいます。
さて、今年は干支でいえば、戌年です。年賀状もさまざまな犬のイメージが添えられていました。どれも私たちが日常的にみる「犬」です。ところが、干支では「戌」という漢字が使われています。「犬」と「戌」は同じものを指しているのでしょうか。
Wikipediaを見ると、以下のように記されています。
「「戌」は「滅」(めつ:「ほろぶ」の意味)で、草木が枯れる状態を表しているとされる。後に、覚え易くするために動物の犬が割り当てられた。犬はお産が軽いとされることから、安産については、戌の日が吉日とされ、帯祝いなどにはこの日を選ぶ風習がある。」と。
そこで、中国語の辞書を開いてみました。すると、「戌」としては、以下のように説明されています。①干支の11番目、②夜7時から9時の間、③12の干支の動物の「狗」、等々。日本語の「犬」は「狗」を指すようです。
そこで、「狗」の説明を見ると、①犬、②よくないヒトの喩え、③迎合、④ヒトをののしるときの言葉、⑤干支の動物の犬を指す、とされています。
Wikipediaでは「草木が枯れる状態を表す」とされ、中国語の辞書では「よくないヒト、迎合する、ヒトをののしるときに使う言葉」とされ、いずれもいい意味ではありません。それなのになぜ、干支の一つに挙げられたのでしょうか。
ネットで検索してみても、本を読んでみても、これと思われる説明が見当たりませんでした。ただ、犬は古来、ヒトと共に生活しており、馴染みがあったので、干支の動物の仲間入りができたのかもしれません。いずれにしても明快な説明に出会えませんでした。とりあえず、年末から年始にかけて、神社等を巡って買い集めた「犬」をご紹介することにしましょう。
■秩父神社
晦日に秩父神社にお参りをしました。そのとき、買い求めたのが、可愛い表情の土鈴です。
■とげぬき地蔵
正月1日、ふらっと訪れてみたのが、巣鴨にあるとげぬき地蔵です。かつて「おばあちゃんの原宿」といわれ、高齢社会の象徴のようなスポットでしたが、高齢者が増えたいま、とくにきわだった印象はありません。干支にちなむ縁起物を探してみたのですが、地蔵だからでしょうか、なかなか見当たりません。ようやく見つけたのが、木製の起き上がりこぼし(小法師)です。
■高麗神社
正月3日、たまには変わったところを訪れてみようと思い、出かけたのが、埼玉県日高市にある高麗神社です。ここは3日だというのに、かなり混みあっていて、本殿にたどり着くのに相当、時間がかかりました。ここで購入したのは、秩父神社の比べ、はるかに大きい土鈴でした。可愛い犬が大きな鈴の上に乗っています。
■鹿島神宮
正月7日、東国三社巡りバスツアーに参加しました。最初に訪れたのが、鹿島神宮です。聳え立つ木々が醸し出す荘厳な雰囲気に圧倒されました。新年を迎えて一週間もたつというのに、大勢のヒトが参拝していました。並んで買い求めたのが、鈴と福を持った犬の土鈴です。
■香取神宮
同じ日、鹿島神宮、息栖神社の次に訪れたのが、香取神宮です。こちらも大勢のヒトが参拝に訪れており、活気がありました。神宮の前には延々と土産物店が立ち並び、なかなかの賑わいぶりです。ここでは胴体に扇の絵が描かれた犬の土鈴を買いました。
■伊勢神宮
次いでのことなら、伊勢神宮にも行ってみようと思い、伊勢神宮巡りのバスツアーに参加しました。こちらは鹿島神宮や香取神宮とは規模が違いました。大勢のヒトが訪れていましたが、それさえも呑み込んでしまうような広大な敷地に、巨木がそそり立っていました。知らず知らずのうちに、神聖な気持ちになっていきます。建物も置かれているものも、すべてが木か土か石など、自然の材料で作られています。そのせいか、大自然の中に包まれている思いがさらに強化されます。ここでは縁起物さえ、すべては土に帰るように、着色もされていませんでした。
■デパートで購入した犬の置物
年末年始にかけて神社等で買ってきた犬の縁起物は6つです。なんとなく、もう一つあった方がいいなと思い、デパートで唐三彩風の犬の置物を買いました。これで7つになりました。
唐三彩は唐の時代、副葬品として作られていたようです。馬や駱駝の置物が有名ですが、この唐三彩風に作られた犬もちょっとした風情があります。
■邪気を祓う鈴の音
今回、訪れた神社のうち、鹿島神宮、香取神宮、秩父神社、高麗神社で買い求めたのが土鈴の犬でした。振ってみると、カラカラと清んだ音がします。静寂の中で聞くと、気持ちまで清み渡ってくるような気がしてきます。そういえば、鈴には邪気を祓う力があると聞いたことがあります。だからこそ、神社等では正月の縁起物として、干支にちなんだ動物の土鈴が売られているのでしょう。買い求めた土鈴を振り、その音で邪気や穢れを祓い、ヒトは新しい年を迎えたのです。
年末年始にかけて買い求めた犬の置物を本棚に並べ、眺めていると、古来、ヒトが正月になると神社にお参りをし、一年の平安を祈る気持ちがわかったような気がしてきます。これまで単なる年中行事にしか見えなかった新年の神社詣でですが、今回、神社をいくつか巡って、建物や縁起物、参拝の光景などを見ていると、自然と一体化した日本文化の真髄が見えてきたような思いがしました。
今年一年、いい年でありますように。(2018/1/31 香取淳子)






