■未払い問題被害者の会の要望書
海外パビリオンの未払い問題は、いまだに解決の兆しが見えないばかりか、次々と新たな被害が明るみに出てきている状態です。アンゴラ館、マルタ館、ルーマニア館、セルビア館などの工事に携わった業者に代金が支払われていなかったことが判明しました。
これらの被害業者6名は、6月23日、万博工事未払い問題被害者の会として、新たに大阪府に対して要望書を提出しました。
被害者の会が提出した要望は ①被害企業への早急な立て替え金の導入 ②建設業許可なく万博工事に参加した企業の実名公表と行政処分 ③下請け業者が安全に働けるための行政による監視 ④府の相談窓口の実用性向上 ⑤府から未払い企業への支払いの働きかけ、等々です。(※ http://www.labornetjp.org/news/2025/0624expo)
これらの要望に対し、被害者の会は6月27日までの回答を求めました。
被害者の会代表のアンゴラ館の建設業者は、「業者やその家族約1000人が路頭に迷っています。早急に対応してほしいと思います」と、切実に困窮状態を訴えました。代金が支払われず、生活に支障をきたしはじめていたのです。早急に対応する必要がありました。
ところが、その日、吉村洋文大阪府知事は不在でした。
未払い問題は以前から指摘されていました。万博協会副会長でもある吉村知事は、この問題に対峙すべき責任者の一人です。ところが、たまたまなのか、それとも、意図したことだったのかはわかりませんが、この日、彼は不在だったのです。
被害者の会のメンバーは、直接、吉村知事に手渡ししたかったのですが、仕方なく、広報広聴課に要望書を手渡したという次第です。
■吉村府知事の回答
6月26日、吉村知事は記者会見を開き、無許可疑いの業者を含む2社に対し、府は下請け企業への未払いに対応するよう勧告したと説明しました。未払いの訴えはアンゴラを含む複数の海外館で出ており、万博協会と府、関係省庁が一体的な相談の場を設けて対応すると説明しました。
こちら →
(※ 北國新聞、2025年6月26日、図をクリックすると、拡大します)
吉村知事の会見は、一見、要望書に対して回答したように見えます。ところが、被害事業者がもっとも望んでいる「立て替え資金の投入」については何も答えていません。未払いについては、依然として、「万博協会と府、関係省庁が一体的な相談の場を設けて対応する」といった生ぬるい対応しか示しませんでした。
彼が、なんとか回答を示したといえるのは、国内事業者に対してだけでした。
国内事業者に対して、吉村知事は、「わが国の建設業に対する信用を低下させる。建設業の健全な発展にも影響を与える」と懸念を示し、「無許可営業の疑いのある2社には、下請け企業へ早急に支払うよう勧告した」と説明しています(※ 北國新聞、2025年6月26日)。
興味深いことに、彼は、未払い問題は「国の信用を低下させる」といい、国内事業者に対しては早急に対処しているのです。これでは、まるで代金を支払わなかったのは日本の業者だけだという印象を与えかねませんが、被害者の会の業者たちが強く訴えているのは、海外の事業者でした。日本の中小建設業者を破産しかねないほど追い詰めているのは、わずか二社ほどの外資系元請け会社だったのです。
開幕後、次々と未払い問題が発覚しましたが、国内業者よりも海外業者によって、建設業者たちが甚大な未払い被害を受けていることがわかってきたのです。代表的な会社が、フランスのGLイベンツ・ジャパン(https://www.gl-events.com/en/gl-events-japan-kk)とスペインのノエ・ジャパン(https://noejapan.jp/ja/)です。
実際、代金を支払われなかった業者たちは、資金が枯渇しており、破産しかねない状況に陥っていました。万博協会が手配し、すぐにも立て替え費用を投入しなければ、生活できないほど追い詰められていたのです。
被害者の会は、なによりもまず、早急な立て替え資金の投入を望んでいました。
ところが、万博協会の副会長でもある吉村知事は、立て替え金についてはなんら回答していません。業者がもっとも強く求めていた要望をスルーしていたのです。これでは、未払い問題から逃げていると思われてもしかたがありません。
実は、この会見で、吉村知事が巧妙に回答を避けていたのが、外資系元請け業者による未払い被害についてでした。
吉村知事が6月26日、敢えて回答しなかった外資系元請け業者による被害が、実際にどのようなものだったのか、具体的にみていくことにしましょう。
■外資系元請け会社による被害の実態
先ほどいいましたように、被害者の会は、6月23日14時から記者会見を開きました。新たに会に参加した4社が、その場で被害の実情を語りました。4社をA、B、C、Dとし、先ほどご紹介したレーバーネットの記事(※ レイバーネット前掲URL)をそのまま引用し、被害の実態を個別に見ていくことにしましょう。
● Aさんはルーマニア館の元請けとして、GLイベンツ・ジャパン社から昨年10月に1億4千万円の全館工事を請け負った。今年4月10日にすべての工事を完了し、4月13日に請求書を送ったが、支払いの回答はない。メールや電話で催促するが「待ってほしい」と言われる。先々週には「契約違反があるので契約解消する」と一方的に文書を送ってきたという。セルビア館では元請けが最初から入れず、肩代わりした。その際の費用660万円も未払いとなっている。
●Bさんはドイツ館の一次下請け業者だ。GLイベンツ・ジャパン社からドイツ館の工事作業員が足りないので助けてほしいと言われ、作業員を送ったが、人件費の約1000万円が支払われない。同社の財務担当者と話したが、振り込みはいまだに行われていない。
また、セルビア館では2次下請けとして館内工事に入った。GLイベンツ・ジャパン社から工事費約3150万円が未払いとなっている。
GLイベンツ・ジャパン社との話し合いを望んだが、「責任者がフランスにいるため分からない」などと話し合いに応じない姿勢だという。「人件費の未払いはあってはならないことです」と強い口調で同社を非難した。
●Cさんはルーマニア館、セルビア館の二次下請け業者だ。一次下請けが未払いになっているために、連鎖的に未払いが起こっている。セルビア館の追加工事分の約2400万円とルーマニア館の約2300万円がいまだ払われていない。一次下請けのB社とともに、GLイベンツ・ジャパン社と交渉しているが、「わかりません」と言われるばかりで、どうしていいのか分からないという。
●Dさんはルーマニア館、セルビア館の二次下請けだ。セルビア館では約260万円、ルーマニア館では約3069万円が未払いになっている。運転資金をすべて使って、関係する企業に支払いを行なったが、それでも払えないところがあり、待ってもらっている状態だそうだ。銀行の借り入れも断られ、事業継続が難しくなっている。「GLイベンツ・ジャパン社は前日に作業員を◯人欲しいと言ってきて、無茶な要望だと思いながらも、なんとか人を集めてきたのに、本当に酷いと思います」とDさんは語る。
以上、個別に被害の実態を列記してみると、A、B、C、D4社はいずれもGLイベンツ・ジャパン社から仕事を依頼されていたことがわかります。
彼らはいずれも、工期に余裕のないなか、GLイベンツ・ジャパン社からの無理難題を聞き入れて長時間働き、開幕に間に合わせて、工事を完成させていました。それにもかかわらず、工事が完了しても代金が支払われず、要求しても応答がありませんでした。特にひどいのは、未払いのまま勝手にGLイベンツ・ジャパン社が契約を解除してきたことでした。
GLイベンツ・ジャパン社が代金を支払わないので、仕事を請け負った業者たちは、関係業者への支払いができなくなり、運転資金も枯渇してしまいました。事業継続が難しくなっている業者もいれば、生活困難に陥っている業者もいます。
被害業者A、B、C、Dの説明から、GLイベンツ・ジャパン社からパビリオンの仕事を請け負ったせいで、国内事業者が何社も倒産の危機に瀕していることが明らかになりました。
被害業者は上記の4社だけではありませんでした。
■未払い問題の元凶
7月11日、今度は、大阪西区の建設会社レゴ社の社長が、実名を出して産経新聞の取材に応じました。レゴ社は、2024昨年8月以降、セルビア館とドイツ館の建設をGLイベンツ・ジャパン社から請負い、工事は開幕直前に完成させました。
ところが、約3億4千万円の建設代金がいまもなお、支払われていません。先ほどご紹介したA、B、C、D社と同様、多大な未払い被害を被っており、解決の目途もたっていないのです。
未払いだけではなく、仕事の発注そのものも杜撰だったとレゴ社の社長はいいます。「GLイベンツ・ジャパン社から届いた部材は、図面通りに穴が開いておらず寸法も合わない。ミスが相次いで発覚し、是正のために工事がどんどん後ろ倒しになった」と明かしています。
しかも、開幕直前の混乱のさ中に、度々、追加工事を発注しながら、GLイベンツ・ジャパン社はその内容を書面に残さず、発注歴が残らないようにしていたというのです。
当時、重機のレンタル料や人件費などが高騰していたうえに、どの現場も人手不足にあえいでいました。それでも、工事を完成するために、レゴ社の社長は、「職人に6万円もの日当を支払ったことがあった」と述べています。
さらに、開幕前の切迫した状況下で、建物の仕様変更が相次いだうえに、GLイベンツ・ジャパン社の発注ミスも発覚しました。その結果、毎日のように、GLイベンツ・ジャパン社側から口頭で追加工事や設備の導入を求められ、工事を急がされたというのです。
口頭で発注され、契約書がないまま次々と作業が進められていきましたが、納品の際、契約書がないことを理由に、GLイベンツ・ジャパン社が伝票へのサインを拒否したこともあったといいます(※ 産経新聞、2025年7月11日)。
これはほんの一例です。
GLイベンツ・ジャパン社が、いかに悪質極まりないやり方で、工事代金を踏み倒していたか、その手口は先ほど見てきたとおりです。前回、取り上げたマルタ館を建設した事業者もまた、GLイベンツ・ジャパン社の未払い被害者でした。
マルタ館を建設した業者は、GLイベンツ・ジャパン社から、「何度も工事の変更をさせられたり、工事をストップさせられたり」しました。ところが、工事が完了した後も、いろいろ難癖をつけられ、代金を支払ってもらえませんでした。GLイベンツ・ジャパン社はこの業者に対し、1億2千万円もの代金をいまなお支払っていないのです(※ https://labornetjp.org/news/2025/0617expo)。
今回、レゴ社が実名を出して説明したことによって、GLイベンツ・ジャパン社が、マルタ館建設業者に対するのと同様の手口で支払いに応じていなかったことが判明しました。さきほどご紹介した4社も同様です。
6社の被害状況をみてくると、GLイベンツ・ジャパン社は、はじめから代金を支払う気はなく、発注記録を残さないようにしていたのではないかと思わざるをえません。とくに、工期が短い中、何度も工事の変更を求め、口頭で発注したまま、発注歴を記録に残さなかったのは、支払い額を曖昧にする意図があったといえます。
■悪質な手口
さて、GLイベンツ・ジャパン社は、マルタ館を建設した業者に代金を支払わない理由として、「工事のクォリティが不十分で、修正工事した費用や工期の遅れなどによるペナルティを差し引くと、支払える金額は残らない。正式な金額は精査中だ」と主張していました。
その後、GLイベンツ・ジャパン社は、「代わりに行った工事費用などを精査した結果、未払い額よりも我々の立て替え費用の方が大きくなったので、差額の数千万円を支払ってほしい」と要求してきたというのです(※ 前掲URL)。
工事の仕上がりに難癖をつけては、何度も修正を求めました。その結果、工期が遅れ、追加費用が発生すると、今度は逆に、建設会社に対しペナルティを要求するというのが、GLイベンツ・ジャパン社の常套手段でした。
工事が完了して請求書を送っても、送金されず、支払いを催促しても返答はありません。話し合いに応じようとしないばかりか、挙句の果ては、「契約違反があるので、契約解除する」とか言い出す始末です。
さらに支払いを求めると、GLイベント・ジャパン社は、逆に、数千万円の追加費用をマルタ館建設業者に要求してきました。脅しをかければ、日本の業者は支払いを請求してこなくなるとでも思っていたのでしょうか。
被害業者たちが個別、具体的に状況を説明することによって、いろんなことがわかってきました。GLイベンツ・ジャパン社は、マルタ館を請け負った業者をはじめ、セルビア館やドイツ館を請け負った業者に対しても、同様の手口で支払いを拒否していたことが明らかになったのです。
これまでみてきたように、悪質きわまりない手口で、GLイベンツ・ジャパン社は建設代金を支払ってきませんでした。その結果、請け負った建設業者たちは破産しかねないほど、苦境に立たされています。それなのに、なぜ、万博協会副会長でもある吉村知事は、同社に対し、なんの抗議もせず、支払いを求める処置もしないのでしょうか。
GLイベンツ・ジャパン社は一体、どういう会社なのでしょうか。
■GLイベンツ・ジャパン社とは?
7月11日、「レゴ」社の被害記事を産経新聞で読み、すぐさまネットでGLイベンツ・ジャパン社を調べてみました。記事を読み終えてすぐに、Wikipediaを見たのですが、この項目は当日、削除されていました。「申し訳ありません。このページは最近(24時間以内に)削除されました。参考のため、このページの削除、保護、移動の記録を以下に表示します」と書かれており、2025年7月11日02:01に「GL events Japan」は削除されたことがわかります。
産経新聞で報道されたその日の未明に、GL events Japanの項目は削除されていたのです。記事が出て、未払いを多数抱えていることが暴露されれば、非難が集中することを恐れ、Wikipediaの項目を自ら削除したのでしょう。
仕方なく、親会社である「GL events」を調べてみました。こちらは、1978年にフランスのリヨンで設立されたイベント会社で、2003年に社名をGL eventsに変更し、2016年に日本支社を設立していることがわかりました(※ Wikipedia)。
GL events社は、GL events Live、GL events Exhibitions、GL events Venuesを軸に事業展開をしており、今回の万博事業は、GL events Exhibitions部門の業務でした。創業者のオリヴィエ・ジノン(Olivier Ginon)がいまも会長兼CEOを務めています(※ https://www.gl-events.com/fr)。
彼は新年の挨拶として、「2025年には、新たな大きな展望を目指して歩みを進めます。グループ全社員とともに、情熱と信念を持って限界を超え続けます」と抱負を語っています(※ https://jp.linkedin.com/posts/gl-events-japan_glevents-eventindustry-sustainability-activity-7283372689015091200-jA0y)。
2025年の抱負を表現したビデオが公開されています。
こちら → https://youtu.be/4HN6lw8D9x0
(※ CMはスキップして視聴してください)
これを見ると、GLイベンツ社は2025年も、世界中で、さまざまなグローバルイベントに参加していることがわかります。「OSAKA」の文字が見え、「大阪、関西万博2025」でもパビリオン建設に関わっていることが示されています。
興味深いのは、CEOの彼が、「グループ全社員とともに、情熱と信念を持って限界を超え続けます」というメッセージを送っていたことです。日本の建設業者が多数、未払い被害を受けていることを知ると、このメッセージの「限界を超え続けます」という部分が、どんな手段を講じても業績を上げると、GLイベンツ社のCEOが宣言しているようにも思えます。
そして、このプロモーション・ビデオからは、GLイベンツ社が2025年度も、積極的に世界市場に挑もうとしていることがわかります。
■GLイベンツ社が開発したユニット工法
いろいろ調べているうちに、興味深い動画を見つけました。2023年8月2日に MBSで放送されたニュースです。
こちら → https://youtu.be/Cen1yd4Kr9E
(※ CMはスキップして視聴してください)
内容は、万博協会は海外パビリオンの工期の遅れを懸念し、①各国に対してデザインの簡素化、②カナダが採用している『別の場所で加工したパーツを会場に運んで組み立てる工法』を他の国に提案、③工期が遅れそうな国については協会側が代わりに施設を建てて費用を参加国に求める方法も提案しているというニュースでした。
万博協会事務総長の石毛博行氏が説明しているシーンが映し出されています。実は、カナダで採用している工法が、GLイベンツ社が開発したユニット工法だったのです。主要部材をカナダや英国などで製作し、日本に運んで組み立てる方式を採用しています。
GLイベンツ社は、2016年9月26に横浜アリーナで開幕された「スタジアム&アリーナ2016(Stadia&Arena Asia Pacific2016)」に、「GL events Stadium Solution」と呼ばれるこのシステムを出品していました。
こちら →
(※ https://www.agc-chemicals.com/jp/ja/fluorine/news/160912.html、図をクリックすると、拡大します)
アリーナやエキシビションでは、ユニット工法の需要が高くなると予測したのでしょう。
■アリーナ&エキシビション市場
2016年といえば、GLイベンツ社が日本支社を設立した年です。それまではイギリスをはじめヨーロッパで行われていた、本格的なスポーツ施設イベントが、この年に初めて、日本で開催されたのです。
こちら → https://www.kotobuki-seating.co.jp/news/detail.html?itemid=546&dispmid=770
GLイベンツ社は、2016年に開催された、日本初の本格的スポーツ施設イベントに参加し、自社が開発したユニット工法を披露していました。
この工法を採用すれば、スタジアムの新設、増設に係るコストや工期を大幅に圧縮、短縮できるといわれています。コンクリートだと最低でも、2年程度の工期が必要とされるところを、「半永久、半常設」をコンセプトに、安全性が保障された鉄骨製のユニット工法を採用すれば、約3か月程度の工期短縮ができると謳われています(※ https://ja.wikipedia.org/wiki/GL_events_Stadium_Solution)。
さらに、必要に応じて改修や撤去に係る工期・工費も短縮・抑制できるなどのメリットもあるとされています。大会や運営するチームや施設などの規模などに合わせて、期間を決めてレンタル利用することができ、半永久的に常設化することもできます。レンタル終了後、このユニットを別の会場や施設で再利用できることも大きなメリットだとされています。
(※ https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/092100040/092600003/)
GLイベンツ社は、2016年に日本支社を設立しましたが、当時、スポーツイベントの日本での開催が相継いて予定されていたからでしょう。たとえば、2019年のラグビーW杯や2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2021年のワールドマスターズゲームズなど、世界的なスポーツイベントが次々と、日本で開催される予定になっていたのです(※ https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/092100040/092600003/)。
そもそも「スタジアム&アリーナ」は、1999年に英国で誕生しました。スポーツ施設のオーナーや管理者、競技団体、サプライヤーなど、スポーツ施設に関わるプロフェッショナルたちが一堂に介するイベントで、これまでは欧州を中心に開催されてきました。
GLイベンツ社が敢えて、日本に進出しようとしたのは、2016年以降、日本で国際スポーツ大会が続々と開催される予定になっていたからでした。日本が魅力ある市場に見えたのでしょう。
■第20回アジア競技大会での業務委託
GLイベンツ社は、2026年9月に開催される第20回アジア競技大会・愛知、名古屋大会でも、2025年1月29日、パートナーシップ契約に関する覚書を締結し、4月に競技会場設営と運営業務の委託契約を、組織委員会側と630億円で結んでいます。
こちら → https://www.aichi-nagoya2026.org/news/detail/653/
(※ 2005年1月29日、パートナーシップ契約に関する覚書)
パートナーシップ契約に関する覚書を締結した時点では、万博での未払い問題はまだ発覚しておらず、業務委託契約を結んだ時点でもまだ、公にはなっていませんでした。ところが、いま、未払い問題は大きな話題になっています。
GLイベンツ社に業務委託すれば、2006年のアジア競技大会でも、未払い問題が起こる可能性があるとは誰も容易に推察できます。
そこで、産経新聞の記者が、アジア大会の組織委員会にこの件について取材したところ、「現時点では万博の件を理由に(GL側との)契約の見直しは考えていない」と説明しています。記者はGL側にも見解を求めたが、取材に応じなかったといいます(※ 産経新聞、2025年7月11日)。
2025年7月15日、東海テレビは《ニュースONE》で、大村知事の見解を報道しました。
こちら → https://youtu.be/ERsZXzmFw_k
(※ CMはスキップして視聴してください)
ニュースでは、まず、「万博 のパビリオンの建設費未払いを指摘されている元請けの会社が、アジア大会の会場設営も担当する外資系企業であることがわかりました」と問題点を指摘しています。
次いで、「大阪・関西万博では、マルタ館やドイツ館など外資系イベント会社「GL events」が元請け企業となったパビリオンで、建設費が未払いとなるトラブルが相次いでいます」と問題の所在を明らかにし、大村知事の見解を尋ねています。
大村愛知県知事は、「今回のようなことが起きてはならないということで、まずは事実関係を把握したうえで、適切な対応をやっていきたい」と述べ、大会組織委員会として、未払い問題の事実関係の報告を求めていることを明らかにしました。
実際問題としては、契約の撤回は難しいかもしれません。大村知事とGLイベンツ会長らはすでに記者発表をし、写真まで撮影されているのです。
こちら →
(※ https://www.aichi-nagoya2026.org/news/detail/653/、図をクリックすると、拡大します)
写真は、左から、大村知事、ビノッド・クマール・ティワリ副事務総長、そして、右がGLイベンツ社のオリヴィエ・ジノン会長です。この契約締結はすでに周知され、第20回アジア競技大会のHPにも掲載されています。ですから、これを撤回すれば、国際問題にも発展しかねません。
一方、GLイベンツ社にとっては、万博での未払い問題を解決しなければ、第20回アジア競技大会での委託業務契約にも悪影響があるでしょう。
■未払いのGLイベンツ・ジャパン社の今後は?
そもそも、GLイベンツ社CEOのオリヴィエ・ジノンは、日本支社が万博の建設代金を踏み倒し、日本の中小建設業者たちを破産の危機に追いやっていることを知っているのでしょうか。
仮に本社のCEOが知らなかったとしても、日本支社の責任者は万博での未払い問題をすべて把握しているはずです。調べてみると、代表はギョーム・マサール(Guillaume Massard)氏でした。それ以外に名前の出ている主要メンバーの中に日本人は一人もいませんでした(※ https://jp.linkedin.com/company/gl-events-japan)。幹部はフランス人と思われる人々でした。
パビリオン建設の指示に直接、関わった日本人がいるはずだと思い、さらに調べてみました。すると、Wikipediaでは削除されてしまった情報がいくつか出てきました。GL eventsの日本支社は、東京都知事許可第150251号を持つ建築業者で、その経営管理責任者は石毛克美氏でした(※ https://ameblo.jp/et-eo/entry-12914424114.html)。
どこかで見たことがあるような名前だと思い、万博協会の役員名簿を見ると、事務総長の名前が石毛博行氏でした。たまたま同姓だということだけなのか、それとも親戚関係にあるのかどうか、気になります。
もし、GLイベンツ・ジャパン社の日本の経営管理責任者が、万博協会の事務総長と何らかの関係にあるとすれば、吉村知事がGLイベンツ・ジャパン社による未払い問題について何の処置もしなかった理由もわからないではありません。万博協会がGL社に忖度している可能性が考えられます。
GLイベンツ・ジャパン社による未払い金が甚大なものになっているにもかかわらず、その名前が公にされるのが遅く、しかも、万博協会には、GLイベンツ・ジャパン社に抗議する様子が見えませんでした。何らかの忖度が働いているとしかいいようがありません。
未払い問題を取材している幸田泉記者は、東京のオフィスに電話し、未払い問題について取材しようとしたところ、「ここでは情報がない。大阪オフィスに聞いてください」といわれ、大阪オフィスに電話しました。
大阪オフィスに電話すると、「ただ今、電話に出られません」というアナウンスが流れるだけでした。未払いの被害者から、取締役の電話番号とメールアドレスを聞き、電話してみても、すぐに留守番電話になり、メールにも返答はないということでした。
(※ https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c43523ac9cccfb2019f90a60cc61a20335d5a7d3)
なんとも不誠実な態度に驚きます。GLイベンツ・ジャパン社を外から撮影した写真があります。
こちら →
(※ 前掲、URL、図をクリックすると、拡大します)
上の写真を見ると、スタッフがいて、仕事をしているように見えます。電話に出られないような状況でもなさそうなので、居留守を使ったとしかいいようがありません。幸田記者は、責任者に連絡を取っても、電話に応じなければ、メールの返信もなかったといいます。
果たして、GLイベンツ・ジャパン社は未払いのまま、逃げ切れるとでも思っているのでしょうか。
(2025/07/21 香取淳子)