■「近藤オリガ展」の開催
後10日ほどで、「近藤オリガ展」が開催されます。
開催期間は、2022年8月3日(水)から15日(月)(8月9日は休廊)まで、開催時間は10:00から18:00(最終日は16:00)まで、開催場所は、「ギャラリーNEW新九郎」(0465-20-5664)です。
是非とも、ご鑑賞いただければと思い、ご案内致します。
近藤オリガ氏は、現在、日本で活躍中の、ベラルーシ出身の画家です。
ベラルーシ国立美術大学を卒業後、1980年代はベラルーシ国内および東欧で個展、グループ展で作品を多数発表し、数多く受賞しています。
1988年には、ベラルーシ美術家連盟の会員になりました。1990年代は、西欧にも活動の幅を広げ、とくにドイツで は1995年以降、各地で個展を開催してきました。
2007年以降、活動の舞台を日本に移しました。さまざまな賞を受賞し、大きな評価を得ています。
こちら → https://www.olgakondo.com/top/jp/prof/
私は2016年に開催された「絵画のゆくえ2016:FACE受賞作家展」で、初めて、オリガ氏の作品に出会いました。以来、その画風の虜になってしまいました。
オリガ氏の作品の一端をご紹介しておきましょう。
こちら → https://www.olgakondo.com/top/jp/work-1/
いずれもモチーフは新古典主義的リアリズムで捉えられ、背景には暗色のグラデーションが何層も施され、神秘的で、幻想的な世界が創り出されています。
画面を見ていると、魂が大きく揺さぶられる思いがします。
■ひまわり
私が感銘を受けた作品の一つに、《ひまわり―福島への祈りー》(2012年)があります。
こちら →
(油彩、カンヴァス、130×162㎝、2012年。図をクリックすると、拡大します))
この作品についてオリガ氏は、特別の思いを抱いておられるようでした。
2011年の福島原発事故は、ベラルーシ出身のオリガ氏にとって相当、ショックな出来事でした。というのも1986年のチェルノブイリ原発事故でもっとも被害を受けたのがベラルーシだったからです。
福島原発事故が起こったとき、オリガ氏はたまたま、ベラルーシに戻っていたそうですが、当時の記憶がすぐ甦り、日本が心配でたまらずドイツ経由ですぐに戻ってきたそうです。当時、成田空港は日本から脱出する外国人で溢れていたというのに、彼女はわざわざ日本に戻ってきたのです。
この作品について、オリガ氏は、「ベラルーシの草原に咲いていたひまわりを持ち帰り、福島の復興を祈って、描いた」と語っておられました。
何故かと言えば、ひまわりはタネが多く、タネが落ちれば、そこから多くの芽が出て、新しい命が育まれるからでした。
福島の再生を祈って、この絵が描かれたのです。
このエピソードからは、オリガ氏が、傷ついた者に寄り添い、痛みを分かち合おうとする繊細で豊かな感性の持ち主だということがわかります。
そういえば、ひまわりの世界最大の産地がウクライナでした。
■ウクライナの現在
2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻しました。何故、そのような事態になったのかはわかりませんが、多くの人々が傷つき、苦しんでいることは事実です。
地図で見ると、ウクライナとロシア、ベラルーシは隣同士の国です。
オリガ氏の故郷は今、紛争のさ中にある国と隣り合わせなのです。日々、報道される悲惨な状況を知って、オリガ氏は、どれほど悲しみ、苦しんでおられることでしょう。
オリガ氏が福島の復興を願って、《ひまわり―福島への祈りー》を描いてくださったように、私も、一日も早いこの紛争の終結を願わずにはいられません。
そう思いながら、河辺を歩いていると、ひまわりが一輪、大きな木の下で咲いているのが目に留まりました。
背後に見える空はどんよりとした曇り空です。まるで、ウクライナとロシアの間の紛争を憂えているかのようです。
空がすっかり晴れ渡り、ひまわりが大きく風に揺れ、人々の目を楽しませてくれるのは一体、いつになるのでしょうか。一日も早い平和の訪れを祈ります。
さて、オリガ氏は今回の展覧会で、どのような作品を見せてくれるのでしょうか。
最後に、展覧会の場所がわかりにくいかもしれませんので、パンフレットの案内図を載せておくことにしましょう。
久しぶりに、展覧会場で作品の前で佇み、静かに自分を見つめ直す時間を持てるのを楽しみにしています。(2022/7/23 香取淳子)